ジュン アシダ(jun ashida)の2019-20年秋冬コレクションが、2019年4月9日(火)に、青山・草月会館で発表された。インスタレーションのBGMとして、アーティストの渋谷慶一郎がライブパフォーマンスを行った。
石段で構成された、ミニマルな雰囲気の会場で発表された今季のコレクションは、「amplify」=“現実の増幅”がテーマ。デザインは、リアリズムに基づいていながらも、フォルムや素材使い、ディテールによってどこか異彩を放つような、独特のオーラをまとっている。表現したのは、極限まで増幅された“現実”。現実そのものとは“違う現実”の世界へと導く。
象徴的だったのは、イヴニングドレスだ。ヴィスコースベルベット、スパンコール刺繍、柔らかなポリエステルサテンを大胆に切り替えたイヴニングドレスは、スリーブを極端に長く設定し、流れるようなドレープでエレガンスを強調した。マットな輝きのラメツイル素材をリボンのように巻き付けて仕上げたドレスや、バラのようなモチーフのゴールドジャカードをあしらったドレスは、クリエーションのダイナミズムを表現しながらも、静かで確固とした気品を感じさせる。
マスキュリンなスタイルも目を引いた。ウインドウペン・チェックのストレッチウールカシミアフランネル素材で仕立てたダブルのジャケットには、センタープレスのワイドパンツを組み合わせて、シックでハンサムなスタイリングを構築。
柔らかなタイブラウスの上に重ねたツイードジャケットや、ストレッチウールヴィスコースクレープを採用したジャケットとスカートのセットアップなど、グレーやブラックといったダークな色彩の、凛とした表情のルックが散見された。ストライプのブラウスにはノーカラーコートや、優雅な広がりを見せるワイドパンツを合わせ、縦長のラインを強調することで、マニッシュな印象をさらに強めている。
ウールアルパカダブルフェイスモッサのコートは、表面をベージュ、裏面をレッドにカラーリング。ポケットの上に腕を通す部分を施したポンチョ型で、肩から腕に沿って馴染む、しなやかなフォルムが魅力だ。その他、直線的なパターンのゆったりとした造形で、身体を包み込むようなストール一体型のコートや、ブラックとグレーのダブルフェイスウールで仕立てたロングコートなども登場した。