ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA) 2020年春夏メンズコレクションが、2019年6月15日(土)イタリア・ミラノで発表された。今季のテーマは、「シシリアン トロピカル」。シチリアのバロックの華やかさと地中海沿岸の伝統的な要素に、トロピカルなテイストや50年代の雰囲気をミックスさせているのが特徴だ。
会場に一歩踏み入れると、今季のキーワード“トロピカル”を体現する、異国情緒あふれるエキゾチックな空間が広がっていた。
ヤシの木や真っ赤な葉を持つアンスリウムなど、南国らしい植物が生い茂るステージは、今季のインスピレーション源になった熱帯地域の美しい景色を再現したもの。またステージから伸びるロングランウェイは、そんなジャングルに潜む獣たちの存在を表しているかのように、レオパード柄で覆われているのが印象的だ。
リズミカルな陽気な音楽と共に、ショーはスタートした。木々の間を通り抜けて現れたモデル達は、たった今ジャングルでの探検を終えたかのように、こぞってミリタリー風ジャケットを纏っている。けれど探検者たちから感じるのはワイルドな男性らしさではなく、むしろ洗練された紳士像。クラシカルなトレンチコートを羽織ったり、ポイントにスカーフを差し込んだりして、それぞれエレガンスな着こなしを楽しんでいる。
ジャングルに茂るジューシーな果物はプリントになって登場。トップスとボトムスは、バナナ柄×ココナッツ柄、パイナップル柄×トロピカルフルーツ柄など、異なるフルーツの絵柄をミックスしてアイキャッチに仕上げた。また木々の間を飛び回る鮮やかなオウム柄のシャツをはじめ、パイソン柄やトラをモチーフにしたジャケットなど、ジャングルに潜む動物たちをモチーフにしたアニマル柄もバリエーション豊富に取り揃えている。
そんな多彩な柄の中でも、今季の主役となったのが、ロングランウェイにも現れたレオパード柄。スカーフやシューズといった小物類から、シャツ、ショートパンツ、ジャケットといったワードローブ、そして洋服のディテールに至るまで、あらゆる形に姿を変えて登場する。
中でも目を引いたのが、ランウェイに溶け込むように現れたオールレオパード柄のルック。本来ハードな印象をもたらすはずのモチーフも、艶やかな光沢をもつテキスタイルと合わせることで、ラグジュアリーなムードへと昇華させている。
ブランドのDNAとなるバロック柄のゴージャスなワードローブも、今季は南国の軽やかなムードを取り入れている。ラグジュアリーなゴールドのエンブロイダリーを施したロングジャケットは、ピンストライプのコットンストライプ生地で仕立てて、熱い夏でも楽しめる一着に。また七分丈のパンツと組み合わせて、素足を覗かせる涼やかなスタイリングも登場した。
ショーの終盤を彩ったのが、バスケット、野球、サッカー、ラグビーなど、様々なスポーツのユニフォームをベースにしたワードローブ。本来アクティブな一着を、ブランドのアイコニックなシシリアンレースで仕立てたことで、繊細でドレッシーなムードに引き寄せているのが面白い。またそれらのユニフォームにも、ハイビスカスやオウム、ヤシの木など、今季のキーワードとなるトロピカルなモチーフがふんだんにあしらわれていた。