ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)の2025年秋冬メンズコレクションが、2025年1月18日(土)、イタリアのミラノにて発表された。
光、歓声、シャッター音、また光──真紅に染まった雛壇状のステージに、所狭しとカメラを手にした男たちが並ぶ。奥からモデルがやってくると、この「カメラマン」たちはフラッシュを焚いて、モデルの姿を追う──「パパラッチ(PAPARAZZI)」が、今季のドルチェ&ガッバーナのテーマである。
パパラッチが、著名人の私生活のいち場面や、華やかななレッドカーペット前の姿を捉えようとするように、今季のドルチェ&ガッバーナは、カジュアルな佇まいの「デイタイム」と、フォーマルなテーラリングの「イブイング」という、2つの側面から構成されている。カジュアルとフォーマルという相反する要素を軸に、互いにテイスト、シルエット、そして素材感を鋭く対比させることで、ドルチェ&ガッバーナは色気の多面性を探っているといえるだろう。
「デイタイム」は、著名人の日常着を彷彿とさせる、ラフな雰囲気が基調。デニムジャケットやデニムパンツ、柔らかく温かみのある質感のツイードのコートやジャケット、ルーズなカーゴパンツ、首周りにボリュームを持たせたメランジニット、ファーコートなど、リラクシングなシルエットと立体的なレイヤードにより、全体として量感に富んだ佇まいに仕上げられている。
この「デイタイム」における色気とは、まず、ボリュームのある佇まいが醸しだす余裕に現れているだろう。そして、それぞれのウェアのディテールもまた、この色気を掻き立てる。ジャッケットやコート、ベストといったアウターには、質感豊かなファーを首元にあしらうことで、気品を演出。ツイードのテーラリングでは、ダブルブレストはラペルを大きく設定し、ショールカラーは上から下へと幅を広げるなど、ほどよく重心を下げることで、抜け感をもたらしている。
一方、「イブニング」の軸となるのが、力強く構築的なテーラリングだ。シングルブレストや、フロントをレイヤリングしたダブルブレストのテーラードジャケットは、端正なセットインショルダー、ほどよくシェイプさせたウエストによって、「デイタイム」とは対照的に身体のシャープでシルエットを浮かびあがらせる。時折り挟まれるジレもまた、ウエストを絞ることで、テーラリングと同様に鋭いラインを生みだしているといえよう。
身体のフォルムに呼応し、完璧にフィットしたテーラリングとは、それ自体、西欧の衣服におけるエレガンス、色気の代名詞であるだろう。ここでは、彩りを捨象した黒という色彩によって、純粋にフォルムが追求される。ところで、ブラックという、光の明るさとは一見対照的なカラーで仕立てたこれらテーラリングにおいては、時にラペルをシルクに切り替え、時に流麗なスカーフをあしらうことで、光沢に富んだファブリックが多彩なニュアンスを織りなす。華やかなビジューもまた、目眩く光の反射をもたらす──そこでは、四方八方から浴びせられるフラッシュに戯れるようにして、光が織りなす変幻自在な表情をも見てとれよう。