オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE) 2020年春夏コレクションが、2019年6月20日(木)にフランス・パリで発表された。
新緑が生い茂るヴォージュ広場が会場となった今季。先ほどまでシトシトと降り続けていた雨はいつの間にかあがてっていて、木々の隙間からはすっかりと青空が広がっている。そんな気持ちの良い朝の空気に包まれた会場に流れるのは、鳥たちの優雅なさえずり。そしてふと気が付けば、広場に茂る木々の間にはモデルたちが現れていた。
アスレチックなセット共にモデル達のパフォーマンスが繰り広げられた前シーズンとはうってかわり、今季はこの自然に満ちた広場で、モデルたちが“かくれんぼ”のように木々の間を移動したり、かけっこしたり、ボール遊びを始めたり…と、思い思いの遊びを楽しみながら、洋服の魅力をアピールしていく。
Tシャツ×ハーフパンツのカジュアルスタイル、ジャケット×パンツのセミフォーマルスタイルと、様々な着こなしが登場するが、それらのワードローブから共通して見て取れるのは、どんな動きにも順応する“軽やかさ”を持ちあわせているということ。細かく施されたプリーツ、ドレープ感も相まって、奔放で自由な動きを見せてくれる。
カラーは、イエロ―、ピンク、オレンジ、ブルー、グリーンなどポップな色彩を組わせて。またチェック柄やストライプ柄などグラフィックを重ねたデザインも登場する。柄本来の持つラインと、直線的なプリーツ加工が融合することで、ワードローブはより躍動感に満ちた動きを見せてくれる。
楽し気なムードから一転、土砂降りの雨のサウンドが会場に鳴り響く。遊びをやめて広場を去っていくモデルの代わりに現れたのは、イッセイ ミヤケの象徴的な“一枚の布”を彷彿させるコート。絵具をわざとこぼしたかのような大胆なグラフィックは、風を含むたびによりダイナミックな表情に。そして同時に羽根のような軽やかさを持ち合わせていることにも気付かされる。
やがて雨が降りやみ、再び会場には太陽の光が戻ってきたようだ。その自然の恵みを祝福するかのように、モデル達がこぞって会場に集まり、賑やかな演奏にのせて楽し気なダンスを繰り広げていく。あらゆる身体の動きにも順応するプリーツの開放的なムード。その軽やかな日常着に身を包んだモデルたちは誰もが笑顔で、そしてその音楽と踊りが止まることはない。“動く楽しさ”を教えてくれるワードローブは、日常をもっとハッピーに生きるヒントが隠されているのかもしれない。