10月19日(金)、アディアム(ADEAM)が2013年春夏コレクションを発表した。東コレ初登場となるショーのテーマは、"ELECTRIC OCEAN"。江戸末期の浮世絵に描かれた海が着想源。"ELECTRIC"という言葉には海の持つダイナミズムと、コレクションを彩るエレクトリック・カラーという2つの意味が込められている。
歌川国芳の絵に描かれた、クジラのしっぽを模したカッティングのルックが目立った。ジャケットやスカートの裾、胸元の切り替えなどに取り入れ、上品さの中にも個性を演出する。背中に施された細かいプリーツは、魚のヒレのようだ。海の女神を思わせるエレガンスをまとったロングドレスは、前後で裾丈がアシンメトリーになっており、ドラマチックな表情を見せていた。
ジャケットのセットアップに、バンドゥを合わせたスタイルや、印象派の絵画のようなオリジナルプリントのドレスは、華があり若々しく爽やかな印象だ。
「アトリエを新しくニューヨークに作った事もあって表現の幅が広がった」と語るデザイナーの前田華子。上品な光沢を持つベイビーブルーのルックに付けられたビーズは全て手作業。白や黒の輝くビーズが躍動感溢れる波を描いた。その色彩や模様からは確かに浮世絵を思わせるジャポニスムを感じさせ、コレクションを象徴するようなルックだったといえる。
カラーは、海の藍色とクジラの黒、波しぶきを表す白といったクリ―ンな色味に熱帯魚を思わせる蛍光色を織り交ぜた。耳元や首元を飾るデコラティブなジュエリーは、水面に輝く水泡をイメージして作り上げた。
芸術性と機能美を融合した日常のラグジュアリーを提案するアディアム。その記念すべきデビューショーでは伝統芸術の中に描かれた海をモチーフに、耽美的な世界観をデイリーウェアに落とし込む事に成功した。最後に来シーズンの東コレへの参加予定は、という質問には「ぜひまた機会があれば参加したい」と若きデザイナーは次なる挑戦への意気込みを語った。