パリファッションウィークで発表された、ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)の2013年春夏コレクション。
「ピュリティ(純粋)」、「ネオ・クラシズム」、そしてパリジャン・クチュールのエッセンスが、このコレクションを読み解くキーワード。ブランドの創立者であるユベール・ド・ジバンシィが手掛けた1960年代のアーカイブと修道女、建築家であるカルロ・モリノのデザインに見られる美を、クリーンでセンシュアルなデザインで表現している。
カラーパレットは淡い色彩がメインで、ベイビーブルー、ホワイト、グレーやブラック。シルエットはグラフィカルなラインとボリュームが特徴だ。フラットで丸いフォルムがユニークなジャケットやパネルスカートなど、楕円や四角などのパーツをそのまま組み合わせて構成されている。ラッフルも丸い形から形作られており、後姿でも立体的なフォルムを描く。これらのボリュームをコントロールしながら引き立てるのは、メタルのパーツ。コンテンポラリーで洗練されたアクセントになった。
そんな繊細なデザインを引き立てるのは、オートクチュールに使用される高級素材だ。優美なラインに加え、軽さと重さ、マットとシースルー、といったコントラストを強調している。
アクセサリーも重要で、このコレクションにおけるウェアが建築だとすると、ジュエリーは家具としての位置付け。シャープなデザインのチョーカーや、サンダルのハンドメイドヒールは、カルロ・モリノのデザインに影響を受けている。メタルにレザー、プラキシグラス、そしてハンドメイドのウッドパーツを組み合わせたヒールは、360°どこから見ても完璧なシルエットが現代建築を思わせる。
計算されたミニマリズムに、リカルド・ティッシという若き才能の鋭い感性を感じずにはいられない、秀麗なコレクションだ。