イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)の2013-14年秋冬コレクションは、伝統的な技術と最新の技術を融合させた「アーバン・モビリティ」スタイルを追求。保温性・軽量性を追求し、インパクトのある素材を用いたスポーティーかつフューチャリスティックなコレクションとなった。
ショーのファーストルックを飾ったのは、日本の伝統にフィーチャーした裂き織りのブルゾン。寒冷な気候のために綿や絹などの生地が貴重であった地域において、着物などの古着を裂いて糸にし、リサイクルしていたことにインスピレーションを受けたこのアイテム。これまでのコレクションのストック生地を、伝統的な裂き織り技術によってモダンなスタイルへと生まれ変わらせた。細腹や内袖部分には、現代のリサイクル素材である再生ポリエステルが使用されているのもポイントだ。
モビリティを一つのテーマに掲げる今回は、いかに実用的なアイテムに仕上げるかがキーポイントとなる。それに対しイッセイ ミヤケ メンは、多くの明確な答えを出した。
レジャーシートからアイデアを得たダブルフェイスキルトのブルゾンとパンツは、持ち運びの利便性を高めるため、フラットに折りたたんで丸められる。保温力に優れるフリース素材を再生ポリエステルとメッシュ素材ではさみ、キルティングしている。海外で「サムライルック」と称された、インパクトあるデザインも注目を集めている。
ショーのラストを飾ったのは、今季イッセイ ミヤケ メンが打ち出すまさに究極のモビリティスタイル。観客の目を釘付けにしたメタリックでフューチャリスティックなデザインはもちろんのことながら、驚くほどの軽量化と保温性の実現に成功した。災害時や遭難時、身体を温める事に用いられるエマージェンシーブランケットをメイン素材として使用。極薄のフィルムにメッシュ生地をボンディングしたこの薄い素材は、毛布5〜6枚と同等の暖かさだ。暖かい=厚い生地という常識を大きく覆した、コレクションを象徴する一着となった。
そのほか、たて糸に和紙、よこ糸にナイロンを使い軽量化を図った、岩手県のライト・ホームスパンのシリーズや、刺し子をモチーフにたて糸に綿、よこ糸にウールを使った暖かみのあるテキスタイルを使用するなどバリエーション豊かな素材使いはイッセイ ミヤケ メンならでは。伝統を重んじつつも新たな可能性を探る意欲的なラインナップだ。