「ゴシック(GOTHIC)」をテーマにした2018-19年秋冬コレクションでは、“ゴシック建築”の連なる尖塔や複雑な構造から着想。クリノリンやコルセットといったクラシカルな要素と、スタッズやレーザーカットによる透かし模様などエッジの効いたアクセント、直線的なシルエットが調和することで、リミ フゥならではの鋭利な空気感を作り出している。
その他、禁欲的なイメージと退廃的なセクシーさ、という矛盾する2つの要素を同時に表現した2015年春夏コレクションでは、ボンデージを思わせる、部分的に肌を露出させたドレスやセットアップ、ハーネスなどが多数登場。“バックサイド”をテーマにした2019年春夏コレクションでは、あえて裏仕立てにしたコートや、街中の落書きのようなペイントを施した白地のドレスを展開し、アンダーグラウンドなイメージを描き出した。
リミ フゥは、しばしば女性性や女性像についての解釈、スタンス、理想を、コレクションに投影してきた。
例えば、2015-16年秋冬コレクションでは、大人と少女の感性を行き来する女性のスタイルを表現。大きなアシンメトリーの白襟と白ボタンを配したイノセントなワンピースや、真っ白なスモックのようなドレス、バルーンスリーブのジャケットなど、少女の遊び心を思わせるピースが登場したかと思えば、背中がざっくりと開くブラックのトップスや、ウエストのラインを強調したコートドレスなど、センシュアルなウェアも同時に展開された。
しっかりとした野心を持つ女性たちへ向けて、ファッションを通してエールを送ったのは、「Faminite」がテーマの2017-18年秋冬コレクション。シャツ、ジャケットといった王道のアイテムに遊びをプラスし、女性らしく仕上げた。印象的なのは、マスキュリンなテーラードジャケットをフェミニンに変形させたピース。アームを外した代わりにサイドにスリットを入れ、肩から裾にかけてはゆったりとしたAラインに。テーラードの端正さはそのままに、優雅に広がるポンチョへと変貌を遂げている。
女性の曲線美に注目した2014-15年秋冬コレクションでは、ピナ・バウシュや、パティ・スミスのスタイルから着想を得たメンズジャケットを提示し、憧れの女性像を投影した。また、「不協和音さえ楽しめる、女性と服の複雑な関係」をテーマにした2013-14年秋冬コレクションでは、懐古的でクラシカルなイメージをベースに、緩急の際立つ挑戦的で意外性のあるフォルムを採用することによって、日々変化する女性の内面とその可能性の振り幅を表現した。