パリで発表された、ヴァレンティノ(VALENTINO)の2013-14年秋冬コレクション。17世紀に活躍したフェルメール、レンブラントなどオランダ美術を代表する画家の作品からインスピレーションを得ている。
まるで魔法のようなリアリズムを現代の世界観へと転換。毎日の生活を慈しみ讃えること、静謐な雰囲気、フェミニティの変化、ディテールへのこだわり、美と文化のメティサージュ(混ざり合うこと)の喜びや色彩の感覚……。巨匠たちの作品を現代的な独自の解釈により身にまとう女性の服として開放した。コレクションに込められたメッセージは「ファッションを楽しみ、常に自己変革をしながら、冒険を」だ。異文化の混ざり合いは、異素材のコンビネーションに落とし込まれている。
フェルメールに見られるような光と影のコントラストは、はっきりと輪郭を引き立たせる表現や白の使い方に落とし込まれている。顔に視線を引き付けるスクエアのネックラインは禁欲的なようで、胸元までレースになっていたり肌が透けるオーガンジーが一部使われていたりと、官能性が繊細に表現された。
あらゆるバリエーションで登場する「白襟」には、レザーのカットワークにビジューをあしらったもの、またオーガンジーの土台に贅沢な刺しゅうを施したものなど様々な表情が見られる。どこかオリエンタルな印象を与えるのは、陶器からインスパイアされた刺しゅうやジャガード、カーペット風のファブリックなどグラフィックや素材使いによるもの。
また一見パテントのTストラップのパンプスに見えるシューズは、ヌードカラーのベロアにかかとと甲を覆われており、やはりここでも今季の特徴である異素材の組み合わせが見られる。カラーパレットは絵画から抜け出したような深みのあるスカーレット、様々なニュアンスのブルー、グレーがキーカラーとなっている。