世界各国のアーティスト、詩人、ミュージシャン、フィルムメーカーがファッションデザイナーと密接に関わることで独自の手法でブランドを展開するイーチ × アザー(EACH × OTHER)が、2013年秋に日本に本格上陸する。現在は伊勢丹、リステア、バーニーズ ニューヨークなどに一部アイテムの取り扱いがあるのみだが、2013-14年秋冬コレクションよりポップアップショップやインスタレーションなども行う見通しだ。
「服は"男性"や"女性"のためにデザインされるべきではない」というコンセプトのもと、ジェンダーレス、エイジレス、シーズンレス、タイムレスなプロダクトを発信するEACH × OTHER。希少価値の高いナチュラルな素材と、特殊なプロセスによる耐久性が高くファブリックを使用し、加工や製法のプロセスをタグに表示しているのも特色。
様々なアーティストとのコラボレーションラインの軸となる「VESTIAIRE」は、ベーシックなアイテムからなるアンドロジナスなコレクション。タキシード、スーツ、レザーバイカージャケット、パンツ、T-シャツ、デニム、カシミアニット、スウェット、スカーフなどがそろう。柔らかいナチュラルな素材を用い、縫製から加工まで全ての行程がヨーロッパで行われている、こだわりのアイテムは、クラフトマンの手によってクリエイティブでユニークな表現がほどこされている。
その「VESTIAIRE」をキャンバスに例えるならば、アーティストによって"色づけ"されたものが、それぞれのコラボレーションライン。更にそれぞれのアーティストは、ウェアをデザインするにあたってキーカラーを持つ。例えばイーチ × アザーの立ち上げに関わり、ブランドのレギュラーアーティストであるロバート・モンゴメリー(Robert Montgomery)の手がけるコレクション「POET VANDAL」のキーカラーはブルー。他にも毎季バラエティ豊かなアーティストとタッグを組み、2013-14年秋冬コレクションだけでも計7人のアーティストとのコラボレーションラインを展開している。
POET VANDAL by Robert Montgomery
またロバートの「FIRE OF EACH OTHER」という詩は、ブランドコンセプトにも重要な影響を与えている。この詩からインスピレーションを受け、普段つながることのないアーティストたちが、服作りを通して交わるというユニークなアプローチのブランド、イーチ × アザーが誕生した。
またイーチ × アザーは、ブランドという枠を超え、フィルム、展示、書籍などをアーティストと共に作成し、発信していくというパブリッシングハウスとしての役割も担っている。いわゆる"ノマド"な遊牧民的哲学を持つため、世界中のどこでも作品を披露する場があれば出かけて行くというスタンスで、グローバルに活動を行っている。イーチ × アザーのユニークな試みによって、観る人、着る人にとってアートとの接点が広がり、新しいコミュニケーションのスタイルが増えることに期待したい。