2013年3月18日(月)、アリス アウアア(alice auaa)が2013-14年秋冬コレクションを発表した。ギリシャ神話に登場する機織りの娘「Aragne(アラーニェ)」にインスパイアされている。
機織りの神アテーナーの父ゼウスの不貞をタペストリーの題材にしたことで逆鱗に触れ、自身の愚かさを恥じながら自害するアラーニェ。死してなお許されず「蜘蛛」に変えられてしまう彼女と、怒りに打ち震えるもう一人の主人公アテーナーを現代的に表現した。
クリノリンをイメージしたオブジェや、ベロアやファーで覆われた半球型のドレスなど、シルエットは強調と抑制のバランスを効かせてドラマティックに。全体を通してブラックやバイオレットなどダークなカラーリングで統一されているものの、足の獲物を逃がさない蜘蛛の足を思わせる毛足の長いファーやマットレザーなどの素材で、質感に変化を生み出している。
またショ―後半では、アリス アウアアの原点ともいえる、たっぷりとしたフレアが広がるフルレングスコートを再構築。バックスタイルのプリーツには引きずるほどの長さのジョーゼットを合わせて、幽玄の世界を彷徨うアラーニェの悲しみを漂わせた。
蜘蛛をかたどったシルバーのバルーンオブジェを背負ったモデルが、獲物を狙うような仕草で登場するなど、今季も「服やブランドの裏側にあるストーリーをどう見せるか」に焦点を当てたこだわりの強い演出だ。こうした取り組みを続けている意味についてデザイナーの船越は、「ショ―というのは、お客さんを始めとしてブランドの価値観を共有していく仲間のためのプレゼント。エンターテイメント性がなければ、ショーをする意味もないと思っています」と語った。