2013年3月20日(水)、ノゾミ イシグロ タンバリン(NOZOMI ISHIGURO tambourine)が2013-14年秋冬コレクションを発表した。テーマは「FUSION AND CONFUSION」。暗闇の中に、鋭い爆音とうめくような声の音楽が流れる会場は、異様な雰囲気に包まれた。
ふらふらと歩いたり、スキップしたり、ガムを噛んだりするおぼつかない表情のモデルたちが身にまとったのは、エッジの効いたストリートスタイル。原宿の若者をターゲットに、若い世代にファッションの楽しさを伝えたいというこのブランドの想いが色濃く出たスタイルだ。
ソールがカラフルな厚底シューズ、総柄やメタリックなレギンスのレイヤードスタイルや、オーバーサイズのシャツ生地のセットアップなどは、原宿の空気感をうまく表現している。何かが溶けたような、液体が飛び散ったような柄と、動物の皮膚のような様々なものが入り乱れた柄が、かすれたプリントで表されたブルゾンやパンツは、「FUSION AND CONFUSION」という今回のテーマを集約したアイテムだと言えるだろう。小さなドクロが集まって大きなドクロを形作るグラフィックも印象的だ。
今回、メディアへの情報を一切出さなかったノゾミ イシグロ タンバリン。その一方でショーは、一つ一つが存在感を放つ服やこだわりの演出、前衛的な音楽とが融合し、見る者の想像力をかき立て、大きなインパクトを与えた。情報が溢れかえる社会に向けて大きな疑問を投げかける、デザイナー石黒望の強いメッセージが込められていたのかもしれない。