ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA) 2021年春夏コレクションが、イタリア現地時間9月23日(水)に発表された。
今シーズンのテーマは、「シチリアのパッチワーク」。ブランドと深い絆がある場所としても知られるシチリアは、その長い歴史の中で、スペインやアラブ、ノルマン、フランスなど、様々な国の文化にも影響を受けてきた土地。今なお息づくその多様な物語を、様々な生地を繋ぎ合わせる“パッチワーク”を通して表現した、シチリアへの愛に溢れるコレクションに仕上げている。
毎シーズン、豪華絢爛なレディ・トゥ・ウェアで人々を魅了するドルチェ&ガッバーナのショー。“パッチワーク”という手法で、あらゆるモチーフを繋げた今季は、より一層その華やかさが増しているように感じられる。例えば、さらりと纏った一枚のドレスに広がるのは、レオ―パ―ドやストライプ、ポルカドット、複数のフローラル…といったムードの異なるモチーフ。頭にも、リップと同じ“真っ赤”なヘッドピースを飾って、高揚感溢れる春夏のムードを盛り上げている。
シフォンや、ブロケード、シアー素材、コットン。ひとつのルックには、こうした異素材がミックスされることで、より一層パッチワークが生み出す多彩な表情が引き立てられていく。
中でも印象的だったのは、シフォンブラウス×ブロケードのパンツを合わせたルック。首元に大きなリボンが揺らめくシフォンブラウスは、その軽やかな質感によって、生地に広がるポップなパッチワークを幻想的な表情へとチェンジ。そこに色柄を計算した、艶めくブロケードのパンツをスタイリングすることで、柄×柄でありながらも、“奇抜さ”を一切感じさせないエレガントな女性像を描き出しているのだ。
一方で今シーズンは、カジュアルな“リアルクローズ”を取り入れたスタイリングも散見された。優美なガウンの下に纏ったのは、白Tシャツ×デニムパンツというラフな組み合わせ。また高い職人技が伺えるテーラードジャケットにも、パッチワークを加えたデニムパンツを合わせることで、モダンなムードへとアップデートさせている。
本コレクションを製作している際、70年代にインスパイアされた1993年のコレクションとも、類似点を見出したというデザイナー。しかしながら、アーカイブから新たに作り出されたジャケットやスカート、パンツ、シャツといったアイテムは、“スタイル”であり、確固とした新しいビジョンを持っている。そして熟練した技術を活かし、伝統的な手作業によって作られたアイテムひとつひとつは、現代に通じる新たな価値を宿しているのだ。