マイケル・コース コレクション(Michael Kors Collection) 2021年春夏コレクションが発表された。
今季のテーマとなったのは、“Urban nature”。思い描いたのは、都心の中心に溶け込む、生命力豊かな自然の姿だ。そんな着想源とリンクするように、今シーズンの舞台には、ニューヨークの都市部に位置する、緑豊かな庭園「コミュニティガーデン」が選ばれた。洗練されたニュートラルなカラーを基調にしながら、肩の力が抜けるリラクシングなムード。そんな心地の良い空気をたっぷりと詰め込んだ、コレクションが展開される。
コレクション全体のシルエットは、着心地の良さが伝わるゆったりとしたライン。夏の定番である、ロング丈のサマードレスは、たっぷりの生地に、“くしゃっ”とシワ加工を施したリラクシングな表情が印象的。また一枚でさらりと纏った水色のシャツドレスは、細身のベルトで程よくウエストマークすることで、ラフになりすぎなモダンな空気も保っている。
象徴的なディテールとして登場したのは、ゆらりゆらりと揺れる毛足の長いフリンジ。ワンピースや、メンズニットの裾や袖元から飛び出し、自由きままのボヘミアンなムードをプラスしている。
そんな緩やかな空気に包まれる中で、ハッと意表を突かされるのが、大胆なカッティング。胸元までV字型に開けたトップスや、モデルの長い脚を露わにするアシンメトリーなスカート、複数のスリットを入れたドレスなど。その斬新なアプローチによって、心地の良い洋服の中にも、観る者を楽しませるモダンな個性を演出している。
一方、メンズライクなジャケットスタイルは、ロング&リーンが基本。オーセンティックなボーダー柄のセットアップには、ドレスほどもあるロング丈のシャツを組み合わせることで、今季らしい遊び心をプラスした。また男女共に、足元はカジュアルなサンダルをセレクト。自分にしかないユニークさを楽しみながら、自然に溶け込むファッションは、21世紀を生きる私たちのニュースタンダードになり得るかもしれない。