カラー(kolor)は、2021-22年秋冬メンズコレクションを、東京・白金台の八芳園にて発表した。
ライトアップされた優雅な日本庭園を背景に披露された今季のコレクションでは、「新しい形でのミニマル」を表現している。従来は装飾的な要素を削ぎ落していくことで表現されてきた“ミニマルなデザイン”だが、カラーは装飾性を残したままのシンプルさを追求。カラーが得意とする異素材や異なるアイテムを組み合わせたデザインを活かしつつ、複雑さとシンプルさの絶妙なバランスを調整していくことで、新たな“ミニマルスタイル”の実践を試みた。
例えば、クルーネックカーディガンにチェック柄のジャケットパーツを組み合わせたルックは、ベーシックなアイテムへの親しみを感じさせると同時に、繋ぎ合わせた時の“ずれ”が新たな感覚を呼び起こす。一方、トラッドなVネックのニットセーターには、襟を歪ませた形でケーブルニットがドッキングされておりインパクトを残すものの、全体のシルエットはオーセンティックに仕上げられている。
また、片方の襟にのみニットカーディガンのパーツを繋ぎ合わせたアンコンジャケットや、ライダースジャケットの襟を貼り付けるようにしてあしらったスタジアム・ジャンパーなど、部分的な複雑さと、全体として見た時の簡素さのユニークなコントラストが印象的だ。
ブーツカットのジャージパンツや、サイケデリックなロゴプリントのカットソーなど、70年代を思わせるスタイルも特徴的。チェックのダブルブレストジャケットにライン入りジャンパーを組み合わせたルックや、ブラウンのパイピングを施したジャケットにデコラティブなストールを合わせたスタイルなど、レトロな趣を感じさせるコーディネートが目を引いた。
2019年春夏シーズンから継続して登場している、パーツを分解して再構築したスニーカーは今季も登場。4つのスニーカーのパーツから構築されるスニーカーは、異なる色や形が混ざり合うようにして組み立てられた、アートのようなデザインが特徴。今季は、分解した時に残る針の跡をあえて再現するなど、細部にも遊び心を効かせた。
また、2021年春夏コレクションに登場したキッズサイズのアウターレイヤードスタイルや、2019年秋冬コレクションのダメージ表現を踏襲したピースなど、過去の手法を駆使したピースも展開。リバイバルを部分的に織り交ぜて新たなデザインを提示していくことで、ノスタルジックな要素をもたらすとともに、スタイルを更新させている。