ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、2021-22年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
コレクションには、今日の世界に対する山本耀司の眼差しを投影。予測のつかない未来への問いを投げかけながら、現在に向き合う自身の視点をポエティックかつパンクな表現手法で描き出している。
クリエーションの着想源となったのは19世紀。全て黒に彩られたエレガントなシルエットのロングドレスは、アシンメトリーなフォルムや、不意にあしらわれたプリーツ、生地をつまみ幾何学的な模様を描くようにして配された有機的な立体装飾など、不規則で意外性のある装飾によって、ミステリアスな空気感を描き出している。コルセットドレスには、レースアップで編み上げたフロントを十字に遮るようにして紐を巡らせた。
目に留まるのは白い糸の装飾。黒い生地に不均一に張り巡らされた糸は、未完成であるかのような粗野さを漂わせつつも、複雑に構築されたウェアの造形に寄り添うようにしてあしらわれているのが印象的だ。袖口や裾を断ち切りにしたオーバーサイズのテーラードジャケットには、あえて途切れ途切れに刺繍を施し、退廃的に仕上げた。
亀裂が入ったかのようなグラフィックを配したジャケットやコートもまた、デカダンなムードを放っている。丸みを帯びたダイナミックなフォルムのコートは、シルクのしなやかな質感を生かしたドレープと、まるで引っ掻いたかのようにノイジーなグラフィックが呼応して、存在感がありながらもどこか儚さを漂わせた佇まいを見せる。
その他、チェーンやワイヤーによるジュエリーの装飾にも注目だ。ミニマルなブラックドレスの流れを縦断するように、大胆にあしらわれたチェーンベルトは、身体を拘束するパンクファッションを彷彿させるとともに、ダークな華やかさをもたらしている。尚、チェーンやワイヤーのジュエリーをはじめとする、ヨウジヤマモトの新アクセサリーラインが今後展開される予定だ。
加えて、ロングドレスに無骨なアウターを組み合わせたスタイルも散見された。ホワイトのパイピングを施したブラックドレスには、袖にボリュームを持たせたショート丈のフライトジャケットをコーディネート。レザードレスには、端正なロング丈のテーラードジャケットを組み合わせた。また、ドレープを効かせたアシンメトリーなワンピースには、変形させたレザーライダースジャケットをオン。解体され、定義され得ないフォルムに構築されることで、独特な余韻を残していく。
メンズと同様に、オンライン上で発表された今季のコレクション。ムービー終盤には、山本里美が手がけるリミ フゥ(LIMI feu)のルックも登場した。