シモーネ ロシャ(SIMONE ROCHA) 2021-22年秋冬コレクションが発表された。
2021年春発売のH&M(エイチ&エム)とのコラボレーションで、日本でもホットな話題をさらったシモーネ ロシャ。そのドリーミーでロマンティックな世界観を武器に、これまでもとびきりフェミニンなピースを展開してきたブランドだが、今季はシンボリックなコードを引き継ぎながらも、意外性のあるタフな要素を取り入れた挑戦的なアプローチが見て取れる。
象徴的に取り入れられたのは、ややハードな印象をもたらすブラックのレザーと厚底シューズ。ライダースジャケットとして現れたピースは、チュールスカートやパンツスタイルと共に、全身をブラックで統一することでパンキッシュなムードに。また花柄とプリーツが交じり合うドリーミーなドレスには、ブラックレザーのクロップドトップスを重ねることで、ピリリと“辛さ”を加えたエッジィな表情をプラスしている。
しかしただ単にハードなテイストを押し出すのではなく、シモーネ ロシャらしいロマンティックな要素も、絶妙なバランス感覚で細部にまで落とし込まれている。その好例となるのが、大きなフリル付きの白のドレスルックに紛れたディテール使い。ドレスに合わせたハーネス風の黒ストラップ&厚底シューズは、本来パンク要素の強いものであるが、ヘッドピースや首飾り同様のパールを装飾することで、不思議と統一感のあるフェミニンなルックへと引き寄せている。
代表的なユ二フォームのシルエットも、ブランドらしい再解釈を加えて。アーミーカラーのジャケットは、大輪の花を咲かせたようなフリルと共に、ふんわりと柔らかなシェイプで優美な甘さを。また黒のライダースジャケットシリーズの中には、パフスリーブと共にAラインのロング丈で仕立てたことで、ドレスに見まがうロマンティックなフォルムのピースも存在する。
顔回りに華を添えるのは、コレクションを彩る花刺繍を取り出したかのような、フラワーモチーフのピアス。ダスティなピンク、情熱的なレッド、そしてややダークなワインカラー。コレクションを交差する対照的なムードを引き継ぐように、様々なカラーの花々が大ぶりのビーズで表現されている。
コレクション全体を俯瞰してみると、こうした“二面性”は、女性本来が抱える複雑な内面を体現しているかのよう。傷1つない真っ白なキャンバスではないけれど、予測しえない要素が美しく絡まり合ってるからこそ、更なる魅力を解き放っているように感じられる。