ビューティフルピープル(beautiful people)の2021年秋冬コレクションが発表された。テーマは「Side-C Vol.6 DOUBLE-END」。
今季のクリエーションを作り上げる上で、デザイナーの熊切秀典が思いを馳せたのは、これまでの当たり前が“ひっくり返された”昨今の日常。これまでのノーマルとは何だったのか。これからのニューノーマルとは何なのか。今までのノーマルとこれからのノーマルは違うものなのか...。そんな思いを巡らせているうちに、“両頭使い”を意味する「ダブルエンド(DOUBLE-END)」というテーマが浮かんできた。
熊切が取り組んだのは、「ダブルエンド」のペンのように、くるっと上下を回転させることによって、1枚で複数のシルエットを楽しめる洋服づくり。ここ数シーズン、ブランドが追及し続けている「Side-C」の概念を踏襲し、首や袖を通す場所を変えることによって、異なるフォルムやボリューム感が生まれるような仕立てを考案している。
エポレットが付いたミリタリーなケープ風アウターは、上下を入れ替えることで、シルエットが劇的に変化。フリルの襟とフィッシュテールがエレガントなシルエットを描く、ロングコートへと変貌を遂げている。
世界地図柄のモノトーンブランケットは、「地球を再びひっくり返えす」という願望が込められたピース。北半球を上にすればガウン風に、南半球を上にすれば躍動感のあるバックスタイルを楽しむことができる。
グスタヴ・ヴァーベックが描いた“だまし絵”モチーフのトップスも。どちらを上にするかによって「大きなナマズを捕らえている人」にも「巨大な鳥に捕らわれている人」にも捉えることができるトロンプルイユを、ニットで表現している。洋服を纏う人に解釈を委ねる、ウィットに富んだデザインだ。
なお、ビューティフルピープル 2021年秋冬コレクションは、パリ・ファッションウィークにて、デジタルショー形式で披露された。手洗いをする際に鏡を見る機会が増えている社会的背景から、鏡をヒントにしたムービーを制作した。「日常の自分」と「自己陶酔する鏡の中の自分」を対極的に描き、“鏡の中の自分は本当の自分なのか?”という問いを投げかけている。