ミナ ペルホネン(minä perhonen) 2021-22年秋冬コレクションは、“愛しい偶然”がテーマ。思考と手と道具が作る時間の中で生まれた“偶然”という痕跡を、デザインのスタート地点にしている。
今シーズンも、植物や動物など、ミナ ペルホネンらしいモチーフのテキスタイルで溢れているが、その制作過程の中には沢山の<偶然>が重なったようだ。例えばブラウスを彩る「le lac」は、風が吹くように絵の具を塗ったサークル型の紙を、ランダムに張り重ねて出来上がったモノ。その過程は実に自由なスピリットで溢れていて、結果的に出来上がった図面は、湖面に煌めく波を連想させるポエティックな仕上がりとなった。
またここ数シーズン、図案を制作するために使用してきたゴム版は、“消しゴム”の形を生かして展開。使いかけの偶然のフォルムから生まれる不均等な表情は、シックな色合いの中にも、どこか見るものをホッとさせる温もりを帯びている。
霜や雪など、秋冬らしいモチーフを採用しているのも今季の特徴といえるだろう。中でも注目は、幼い頃の記憶をたよりに、霜柱の煌めく結晶をイメージした「needle ice」のコート。深々としたアイスカラーに、結晶のような規則正しい刺繍を施した一着は、あっという間に溶けてしまう“あの瞬間”の冷たさを、はっと思い出させてくれるかのようだ。
そして今季は、“ロバのユニコーン”をテーマにしたファンタジックな絵柄「mori no hoshi」や、銃を持った兵に、女性が花を向けた作品(マルク・リブー作)に着想した「sleeping flower」など、ストーリー性のあるテキスタイルも充実。
さらに英国のタータン協会に登録されているタータン柄「minä perhonen tartan」は、青空に浮かぶ雲と、そこを舞う蝶をイメージした配色。取り外し可能なケープを纏うと、より一層エレガントな佇まいだ。