ミラノファッションウィークにて、ウミット ベナン(Umit Benan)が2014年春夏コレクションを発表した。
デザイナーのウミット ベナンはコレクションに、トルコ語で男性の敬称を表す「Efedi」というタイトルをつけた。自身のトルコ人としてのルーツを追求するとともに、神聖ローマ帝国時代酒場に集まり、音楽に、社交に、そして哲学に興じた当時の紳士達に想いをはせることから生まれたコレクション。モデル一人一人が、マスクを着用し、薄暗い会場の中で、スローペースの音楽に合わせて登場するショーは、まるでアイロニーたっぷりの演劇のよう。
象徴的なトルコ帽と口髭を着けたモデル達が着る服はどれも、当時の正装をイメージさせ優雅でありながらも、ゆったりとしたシルエットで、紳士としての溢れる自信を感じさせる。多くのルックで見られる、西アジアの伝統的な衣服カフタンを彷彿させる長めの丈のアウターと、マオカラーのインナーの組み合わせは、インパクトがあり斬新。ダブルプレスのズボンの丈は全て少し短めの作りとなっており、そこから厚いソールのローファーがのぞく。メインのカラーパレットは青、グレー、オリーブ、カーキなどのベーシックカラ―。落ち着いた雰囲気の中で、高貴なワインレッドや藤色がアクセントになっている。素材はモヘア、メリヤス、ウールなど、光沢がありながらもドライな生地が使われており、紳士達の身なりをより一層洗練されたものにしている。
ウミット ベナンはショーを通じて、男性が生来持つパワー、そしてエレガンスを見事に表現した。そこには彼の、成長を続け、未来が約束され続けたオスマン帝国の時代に対する回顧の念と共に、自分達のアイデンティティーを追求し続けることの重要性を、現代において改めて説くデザイナーとしての姿勢があった。