サンローラン(Saint Laurant)が、2014年春夏メンズコレクションをフランス・パリで発表した。グランジロックスタイルを提案した2013年秋冬に続き、今回もロックへの愛をストレートに表現したエディ・スリマン。50年代のロカビリーやテディ・ボーイの要素も散見するものの、主にイギリスの70年代のグラムロック(とくにデヴィッド・ボウイ)や、80年代のブロス(Bros)を彷彿とさせるスタイルを現代に蘇らせている。
代表的なルックは、ゴールドラメのタキシードジャケットやライダースジャケットに、ボーダーかメッシュのタンクトップ、ハイライズ気味のスキニーデニム、ノーズの尖ったバックル付きブーツを合わせたスタイル。デニムはリーバイス606に近い股上の深いシルエットで、タンクトップはデニムにイン。ベルトはウエスタンバックルで、髪型はポマードで撫で付けたオールバックか前髪を垂らしたリーゼント……。
1980年代に青春を過ごした世代にとっては、どこか甘酸っぱさをノスタルジー感じるスタイルを、それを新鮮に見せるのがエディの手腕ということなのだろう。前ポケットに両手を入れて前傾姿勢で歩く演出も、当時の空気感と「若者の青さと反抗心」を上手く表現している。
鎖骨を大胆に見せたカットのゴールドのタンクトップにタイトなネイビージャケット、黒のスキニーデニムを合わせたファーストルックや、全身を黒で統一したルックは、風格と威厳を感じさせる正統派のザ・ロックスター。カラーは、黒を基軸に、グレー、赤を多用。シャツやバンダナなどで使った赤と、ヒョウ柄、ゼブラ柄、チェッカー柄、アーガイル、千鳥格子など“音”を感じさせる柄がアクセントになっている。モデルの面子も超個性的で、エディがパンクバンドを中心としたミュージシャンたちをキャスティングした。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)