sacai(サカイ) 2021-22年秋冬コレクションが発表された。
未曾有の環境下で、大きな変化が求められた2020年。今までだって人類は、幾度となくこうした困難を乗り越え、日常の中に小さな喜びや発見を見出すギフトを持っていたのかもしれない。
デザイナーの阿部千登勢は、東京で過ごしたこの1年の中で、少しずつ人々がドレッシーなスタイルになっていく変化を肌で感じていた。纏うだけで、どこか特別な気分に浸れるロマンティックな洋服。そんなポジティブなムードを落とし込んだコレクションには、丁寧なクチュール的表現が引き立つ、女性らしいエレガンスが再び舞い戻ったようだ。
今シーズンの最大の特徴となるのは、sacaiらしいアレンジを加えたフェミニンなシルエット。ふんわりとシュリンクさせた肩には、オーバーサイズのアームを繋ぐことで、さりげないモードなムードをプラス。もちろんブランドならではのハイブリッドな表現も健在で、ニット×ウール、ウール×ナイロンなど、ボディと異素材で切り替えたアプローチも目立つ。
縦に伸びるナローなシルエットを意識したというコレクションには、タイトスカートが重要なカギを握っているようだ。しかしながらぴったりと身体にフィットするはずのタイトスカートは、途中からワイドパンツのシルエットにが重なりあって、本来あるはずのない“動きのある”真新しいシェイプを形成。
またフルレングスのドレスは、伸縮性のあるニットを重ねることで縦のラインを強調しながら、ふわりと舞う裾がロマンティックな余韻をもたらしてくれる。
秋冬の主役となるアウター軍も豊富に用意。sacaiが得意とする再構築によって生まれ変わった、多彩なトレンチコートがラインナップする。中でも印象的だったのは、ボディをイエローのダウンで切り替えたユニークなピース。アウトドアな要素を持ちながら、まるでドレスのように膨らむその様は、今季のムードを色濃く反映した一着といえるだろう。
カラーはダークカラーやアーミーカラーをベースに、時折鮮やかなレッド、イエロー、ブルーを差し込んで。またグラフィティのレジェンド、エリック・ヘイズとのコラボレーションも実現し、ポジティブなメッセージ入りのTシャツなどが展開された。
なおデジタルショーでの発表となった今季は、真夜中の渋谷・スクランブル交差点がランウェイへと様変わり。着陸したヘリコプターから、最新コレクションに身を包んだモデルたちが次々と現れ、堂々と横断歩道を闊歩した。動画は、KDDIが特別協力したCG映像となっている。