ラッド ミュージシャン(LAD MUSICIAN)は、2021-22年秋冬コレクションを発表した。
テーマは「DEAD POST PUNK SOUL」。着想源となったのは、ブライアン・ジョーンズが在籍していた60年代のザ・ローリング・ストーンズと、ジョイ・ディヴィジョン「DEAD SOUL」やシスターズ・オブ・マーシー「ANACONDA」といったポストパンクの楽曲、そしてレイチェル・カーソンが著した『センス・オブ・ワンダー』だ。これらのインスピレーションに共通する、“未知の領域を拓く実験性や前衛性”をクリエーションに落とし込んでいる。
注目したいのは、オーバーサイズジャケットの新たなシルエットだ。ブラックのロングジャケットは、ワイドショルダーに仕立てた肩を若干ドロップ。ウエストにかけて緩やかなシェイプを施し、裾に向けてはフレアー仕様にすることで、オーバーサイズながらもソリッド感やシャープさを演出した。ダブルブレストのロングテーラードジャケットやチェスターコートにも同様に、強調された肩のディテールとウエストにかけて細くなるフォルムが採用されている。
加えて、トレンチコートやモッズコートといったコートも緩急のあるシルエットに。アームや裾には分量を持たせつつ、ウエストベルトやドローコードを締めることでメリハリをつけている。
また、コンパクトなショート丈のジャケットも目を引いた。ダブルブレストジャケットや、シングルの3ボタンジャケット、ピーコートなど、いずれもボクシーなシルエットに仕立てられており、端正さを備えつつも尖った着こなしを可能にする余地を含んでいる。ギンガムチェックのジャケットの裾からは、中に着たグリーンのシャツを見せることで鮮やかなアクセントを効かせた。
シャツやカットソーは、襟まわりのディテールが個性的。例えば、ローリング・ストーンズの楽屋の床に散らばった花びらをイメージしたプリントを施したボウカラーシャツは、華やかな佇まいの1着だ。無地のシャツでは、ハイネックの襟にストールを一体化させたデザインも登場。前で結べばボウタイのように、巻き方を変えれば上からストールを巻いているかのように着ることもできる。また、ルーズに仕立てたハイネックカットソーやプルオーバーは、口元を覆うようにして着用できるようになっている。
今シーズンのカラーパレットは、ブラックやダークパープル、ダークグレーといった奥行きや深み、影を感じさせる色を採用。加えて、グレーがかったブルーや淡くくすんだミントグリーン、深緑などが彩りをもたらしている。
また、プリントやテキスタイルは静けさやダークさを思わせるモチーフを採用。片側の身頃のみに花や虫、蝶を繊細に描いたブラウスや、虫食いの落ち葉柄ニット、古い宗教画の花を撒く天使モチーフなどが登場している。チェック柄は千鳥格子、ガンクラブチェック、ギンガムチェックなど様々な種類のチェックが見て取れた。
尚、今季はラッド ミュージシャン初となる革財布もラインナップ。現存する日本最古の革小物工房「革包司 博庵」とコラボレーションした、ミニマルな革財布が登場する。薄く漉いた2枚の革を貼り合わせる“ベタ貼り製法”によって仕立てられた革財布は、しなやかな革の質感と凛とした表情が魅力だ。