ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)は、2022年春夏コレクションを発表した。
「SAVE OUR SOULS」と題した2022年春夏コレクションは、海と、1998年に発表された「Tied To The Mast コレクション」からインスピレーションを得ている。クリエーションの原点となるのは、1849年にカウズを拠点に活動し、ヨーロッパのクチュールを牽引したイギリスのクチュリエ・Redfern。Redfernが仕立てた航海のための衣服やイギリスの海賊、また、エリザベス1世の時代にも思いを馳せ、“海”のエッセンスをコレクション全体に落とし込んでいる。
象徴的なのは、船上で嵐に遭遇した際に、荒波に流されるのを防ぐためマストに縛り上げる様子をイメージした“ロープモチーフ”だ。文字通り生命を守るための象徴的なモチーフとして、様々なアイテムに落とし込まれている。
シャツやカットソー、ニット、パンツといったアイテムには、身体を縛っているかのような配置でロープの模様をプリント。襟ぐりの開いたノースリーブトップスには、布地のドレープに連動するようにして縄目模様が配されている。また、うねるように伸びるロープの柄を幾何学的に表現したジャカードニットやニットパンツも登場している。
布地にギャザーを寄せ、身体にそのまま巻き付けたかのようなドレスもまた、“マストに縛る”イメージを呼び起こすルックだ。
加えて、海軍の制服を思わせるボタン付きフラップをフロントに配したパンツや、ダブルのジャケット、ベストなど、マリンテイストのディテールが随所に散りばめられている。航海を思わせるデコラティブなプリントは、ドレスやシャツ、パンツに総柄でオン。華やかなスカーフ柄のテキスタイルを用いたワンピースやブラウスも登場した。
ダイナミックなボーダーのカットソーやシャツ、パンツ、スカートは、ボーダーの向きをバイアスにとったり、異なる向きに切り替えたりすることで動きのある佇まいを演出する。
また、ドレープやギャザーといった、生地の分量感を生かしたディテールによって変則的なフォルムを作り出すデザインが散見された一方で、チェックやストライプの生地を用いたテーラードアイテムの端正さが際立っていたのも印象的だ。
2種類のストライプを織り交ぜたダブルジャケットは、しなやかな生地の質感を生かした流れるような仕立て、スペクタクルな2種類の縦縞が連動し、シャープな印象に。レッド×グリーンのチェック柄テーラードジャケットは、袖にやや広がりを持たせ、ウエストをシェイプすることで自然な緩急による均整の取れたシルエットを描き出している。