ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2022年春夏ウィメンズコレクションを発表した。
今季のルイ・ヴィトンが贈るコレクションは、“時”の仮面舞踏会へと誘う招待状だ。仮面を着けた状態で時を過ごし、デイタイムとイブニングの境目を覆い隠すことで、“時”に連動した装いのコードやファンクションを解体。つつましいユニフォームからラグジュアリーな装いへと鮮やかな変化を遂げるかのごとく、創造性に満ちたピースが展開された。
例えば、華やかなレースをあしらったドレスや、きらびやかな装飾をまとったドレスには、レースアップのアクティブなフラットサンダルをコーディネート。また、繊細な装飾を施したオーガンザのドレスにはテーラードジャケットを合わせる等、ドレスのクラシカルなムードと、アクティブなデイリーアイテムの持つ現代性を折衷させたスタイルが散見された。
中でも印象的だったのは、ワークテイストのアイテムをエレガントなスタイルに同化させたルックだ。ジョッパーズパンツには、デコラティブなスカラップのブラウスやレースの付け襟を合わせ、ユニフォームライクなスカートにはシャイニーなジャケットを合わせている。
また、艶やかなジャケットやビーズ刺繍を施したトップス、繊細なスリップドレスにジーンズを合わせたり、シックなツイードジャケットにデニムスカートをコーディネートしたりと、一見対照的なリュクスとワークの要素を共存させ、新たなラグジュアリースタイルに昇華している。
一際存在感を放っていたのは、マントを羽織ったルックだ。レースを組み合わせた柔らかな白のドレススタイルにはふんわりとしたホワイトフェザーのマントを、ミリタリー調のスカートにゴールドの装飾を施したベストを合わせたルックにはシックなブラックフェザーのマントを合わせ、風格のある佇まいを形作る。その一方で、バルーンスリーブのジャンプスーツには、軽やかなドットプリントのマントを羽織ることで、前者の2ルックとは対照的に軽快さや身軽さを際立たせた。
身体の造形を覆い隠し、ある一部分のフォルムのみを極端に誇張したデザインも今季の特徴だ。しなやかな素材で仕立てたロングドレスにはバッスルを合わせて腰回りを強調。19世紀以前のドレススタイルを彷彿とさせつつも、コルセットによるウエストの締め付けがない分、コンテンポラリーな雰囲気を帯びている。ファーのケープコートは、ゆったりとダイナミックな曲線を描くシルエットによってすっぽりと身体を収め、身体のラインを完全に覆っている。
また、チェスターコートやテーラードジャケットには肩パッドを配して張り出すようなパワーショルダーに。ジャカードのセットアップもまた、トップスをボクシーなシルエットに仕立てることで肩の造形を強調した。身体のシルエットや、オーセンティックなウェアのパターンメイキングの規定に沿わない形のピースからは、規範や慣例から解放された自由なクリエイティビティが感じられる。