先日、ロンドンで発表されたヴィヴィアン・ウエストウッド レッドレーベル(Vivienne Westwood Red Label) 2014年春夏コレクション。ショーの冒頭、ヴィヴィアンと共に昨今の環境問題に警鐘を鳴らす、モデルで女優のリリー・コールがアーティスティックな赤いライティングで登場した。
特別に用意された2013-14年秋冬コレクションのヴィヴィアン・ウエストウッド ゴールドレーベルのドレスが不気味に揺れ動く。会場の席にはポストカードを配布、出席者に気候変動に対するメッセージ記入を呼びかけた。記入されたメッセージは国際連合事務総長の潘基文のもとに届けられる。
ヴィヴィアン・ウエストウッド レッドレーベル、今季のテーマは「アーティスト」。彼らをスタイルアイコンとして、または想像を掻き立てるクリエイターとして捉え、彼らの仕事服や絵画、スタジオなどを徹底的にリサーチしコレクションを発表した。
特に着目したのは、画家ギュスターヴ・クールベ。彼はパリ・コミューンへ参加したり、社会主義に共感するなどアナーキーな振る舞いをみせ、当時流行していた作風を否定し写実主義的な作品を多く描いたことから「画壇の反逆児」と呼ばれていた。それでも彼の残した作品は、今なお名作として語り継がれている。
ヴィヴィアン・ウエストウッドはそんなクールベに共鳴し、コレクションのメインプリントである花柄に、彼の作品「花瓶の中の花束」を落とし込んだ。ハイウエストで絞った総柄のワンピースや自由自在にドレープが走るドレス、豪華なブロケードなど、あらゆるアイテムに花柄が使われているが、濃淡や明暗、素材で遊びを効かせ、それぞれ違う表情を引き出して魅せた。肩や腹部に咲く、大きな花の装飾も一際目を引く。
またアーティストの多くが男性のため、メンズウェアから受けたインスピレーションもコレクションに表現。エッジの効いたスーツスタイルやフランシス・ベーコンの服装から着想を得たブレザー、キャップなどを披露した。独特のシルエットを生むラペルを排したコートやつなぎ、マンダリンカラーのシャツなどミニマルかつクリーンなディテールにも注目だ。