2013年10月18日(金)、ユキコハナイ(Yukiko Hanai)が2014年春夏コレクションを発表した。テーマは「Tempo Rubato(思い通りの早さで)」。自分が主役のように、自分のテンポで、思いのままに洋服を着こなすことを楽しんでほしい。今回のコレクションには、デザイナーのそんな思いが込められている。
軽やかなピアノの旋律が鳴り響き、一面ホワイトのランウェイに映える、ベビーピンクのセットアップでショーはスタートした。高級感のある光沢のある生地には、花をモチーフにした黒いチョーカーでセクシーさをプラス。
カラーパレットは、白をベースに、緑、赤、青とまるでお花畑のように色彩豊か。そこにちりばめられたスパンコールが、光にあたるたびにきらきらと輝き、自信に満ちた女性を演出している。単一カラーのコーディネートにも、小物使いで差し色をプラスしているのが、ユキコハナイらしい。
多くのルックに見られた、あまりボディラインを強調しすぎない上品なAラインや、ウエストマークのシルエットも印象的。また、ショート丈のトップスに、膝丈のスカート、ノンヒールのシューズを合わせるスタイルや、バギーパンツ、ヘッドスカーフを取り入れたスタイルは、オードリーへプバーンをはじめ、50年代の女優を髣髴とさせる。
フェミニンにまとめたスタイルには、大ぶりのネックレスやバングルなどでアクセントを。バッグには気分のあがるビビッドなイエローやグリーンが用いられている。ナチュラルなメイクには、カラーのシャドーとキュートな赤のリップが映える。
ショーを締めくくったのは、華をモチーフにしたブラックのドレス。シルエットのボリューム感にも関わらず、透け感のある生地を使ったことでライトな雰囲気に仕上がっている。その圧倒的な存在感は、まるで着る人自身が、一輪の花へとトランスファーしたかのよう。
複雑な現代社会に生きる女性たちが忘れかけてしまっているもの、それはただ純粋にファッションを楽しむ心。今回のコレクションはそんな女性たちにもう一度、自由に洋服を着こなすことの悦びを教えてくれるようだった。めいいっぱいのお洒落をして鏡を見る瞬間のあの高揚した気持ち、それを思い出させてくれたユキコハナイのショーに、会場からは大きな拍手が沸き起こった。