ザ ドレス アンド コー ヒデアキ サカグチ(The Dress & Co. HIDEAKI SAKAGUCHI) 2014年春夏コレクションが渋谷ファションフェスティバルのメイン会場である宮下公園で発表された。今季のテーマは「TOKYO NIGHT PLAGES」。熱帯化する東京に、パリの人工ビーチ「プラージュ(PLAGES)」があったらどうなるかという発想からデザインは始まった。
デザイナーの坂口英明は、「エンターテイメント性がある大人が集まれるようなプラージュが東京にあるとしたらどんなのがいいだろうって考えて、やっぱり夜だなというイメージがありました」と語る。プラージュは泳ぐのではなく、水を感じながらお酒を飲んだり思い思いに楽しむ場所。アルコールドリンクを片手に何気ない会話に花を咲かせる、コレクションにはそんなワンシーンが表現されている。
今季は、カラーリングも大きな表現の要素になったという。かすみがかったアイスブルー、濃度の低いグレーを重ねたブルー、肌に近いようなヌードベージュなどを多く用いてエレガントな女性像を描き出す。その爽やかでクリーンな色が落とし込まれたレザージャケットやロングコート、シャツなどを纏ったその姿は、プラージュで過ごす人々の気品に満ちた振る舞いを彷彿とさせる。「忘れてはいけないのは、遊び心」と明言する坂口英明は、ピンクやパープル、グリーン、はっきりとした光を反射するホワイトなど遊び、色に起伏を持たせた。
Tシャツに水の流れを思わせる軽やかで透け感のあるオーガンジーの袖を組み合わせれば、カジュアルさは薄まり、パリジェンヌの粋なオシャレへと姿を変える。カクテル光線によってキラキラする水面をイメージたという、ラメ糸で輝きを加えたパンツやワンピースもコレクションでは一際輝きを放っていた。
「クリエイティブというのは、自分自身にその定規ものさしを向けること。相対的な美意識の判断ではなくて、自分自身で感じて欲しい。もちろんそこには遊び心を忘れてはいけない」と語る坂口英明。そのエンターテイメント性に富んだ発想から、色気漂う大人の女性を描いた。