バレンシアガ(BALENCIAGA)の2022年冬コレクションが発表された。
「360°」というタイトルを冠した今シーズンは、防護ガラスに包まれた“スノードーム”のような空間で発表。サークル状のランウェイを歩くモデルたちは、吹雪の中を険しい顔つきで進んでいく。360°ビューで演出されたこのショーは、「冬」という季節や「雪」という天候さえもが近い未来にはデジタル世界でのみ体験できるものになるのではないか、というデムナの思考を表現したものだ。
白銀の世界に現れるのは、ブラックをベースとするエレガントなルック。風に吹かれてたっぷりとした布地が揺れ動くアシンメトリードレスや、ベアトップのロンパースなど、クラシカルなピースを大胆なシルエットで描き直したピースが続く。
漆黒の世界が終焉を迎えると、ビッグショルダーのジャケットやルーズなシルエットのフーディーなど、デムナが得意とするストリートテイストのアイテムも続々と登場。ブランドロゴ入りのガムテープを身体に巻き付けたかのようなスリムなボディスーツや、ジーンズを再構築したデニムトップスも目を引く。
毎シーズン、アイロニカルな発想で楽しませてくれるアクセサリー類には、ゴミ袋からインスピレーションを得た新作バッグ「The Trash Pouch」がラインナップ。幅広のアッパーにスパイクヒールを組み合わせたレースアップスニーカーも、足もとで大きな存在感を放っている。
今シーズン、ショーのフィナーレを、ウクライナ国旗を彷彿とさせるイエローのセットアップとブルーのロングドレスで締めくくったバレンシアガ。幼少期に難民となった経験を持つデムナは、戦争に胸を痛め、一時はショーのキャンセルも考えたという。デムナはショーに合わせて、自身の言葉で綴ったレターを公開。「このショーをキャンセルすることは、30年近く私にひどく苦痛を与えてきた悪に降参し、屈することを意味するであろうことに気づきました。」とした上で、「このショーに説明は必要ありません。それは、恐れないこと、抵抗すること、そして愛と平和の勝利への献身です。」とメッセージを寄せた。