ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2022年秋冬ウィメンズコレクションを発表。フランス・パリのオルセー美術館にて、同会場史上初のファッションショーを行った。
今季は、答えがなく、制約もない“若さ”や青春時代にフォーカス。思い起こすのは、個性を形成していく若い時期に特有の、純粋で自由な発想や夢。本質を見つめ、何事にもとらわれず心の赴くままに理想を追う鮮烈なロマンティシズムを、コレクションに投影している。ファーストルックには、ルイ・ヴィトンのアンバサダーを務め、Netflixのサバイバルドラマ『イカゲーム』にも出演したチョン・ホヨンが登場した。
ユニフォームライクなルックは、メゾンの真髄である“旅”を想起させる詩的な雰囲気と、ジェンダーレスな佇まいが印象的だ。ゆったりとしたレザーブルゾンやガウンなどに、タイを結んだシャツ、パンツを合わせ、快活な装いを提示。ネクタイの下に重ねるようにしてスカーフを結んだルックは、オン/オフを越え“どんな場所にでも行ける”ことの象徴であるように感じられる。
柔らかな質感のニットやツイードを用いたジャンパースカートは、膝よりも上に設定したコンパクトな丈と、シンプルなフォルム、サイドにあしらわれた大きなポケットが相まってどこかイノセントな雰囲気を漂わせている。曲がったパイプを繋ぎ合わせたかのような、カラフルなネックレスやブレスレットが、さりげない遊び心を添えている。
また、スーツに合わせたコートや、クラシカルなグレンチェックのテーラードジャケットは、襟や肩、身頃をゆったりと仕立てたオーバーシルエットに。ティーンエイジャーが大人のアウターを借りて羽織った時のように身体を丸ごと包み込む、大らかなアウターもまた、“若さ”を思い起こさせた。
“着たいものを着る”という自由な精神が、プレイフルなレイヤードスタイルを通して顕著に表現されている。オレンジやブルー、ピンクなどのアイキャッチなカラーに彩られたオーガンザのワンピースには、分厚くキャッチーなプリントのニットをコーディネート。グラデーションを描くしなやかなオーガンザのネックラインから下に重ねたニットのキャッチーなプリントが浮かび上がるようにして顔を出し、ファニーな佇まいを演出している。
その一方で、繊細なプリーツシフォンのドレスの上からあえてカジュアルなシャツやニットをレイヤードしたルックも登場。柔らかなイエローのドレスの上には、はっきりとしたトーンのネイビー×イエローのボーダーをプリントしたラガーシャツを重ね、流れるようなシルエットがエレガントなオフショルダードレスには、真っ赤なニットをラフに腰に巻き付けた。あえて対照的な印象・デザインのアイテムを組み合わせて着ることで、既存の様式やシーン、カテゴライズから解き放たれたスタイルを提示している。