ペイデフェ(pays des fées)の2023年春夏コレクションが、2022年9月1日(木)に中野ブロードウェイにて発表された。テーマは「forest maiden」。
フランス語で“妖精の国”という意味を持つブランド・ペイデフェ。美しく神秘的でありながら禍々しい「人ならぬ世界」を舞台にルックが展開された。
今季の出発点となったのは、デザイナー・朝藤りむのルーツ。柳田國男が岩手県・遠野地方の説話を集めた『遠野物語』にも伝わる、“朝日巫女”の伝承だ。ファーストルックはまさに、巫女がランウェイに現れたかのよう。軽やかな生地に、動物や植物を文様のように描いたドレスが、笛の音と共に披露された。
巫女が生きた世界を辿るようなピースは、あらゆるルックに落とし込まれている。森の昆虫や爬虫類、紫の花に埋もれているかのようなスーツや、ヴィクトリア朝のコルセットを彷彿とさせる光沢素材の花柄ビスチェなどが揃う。
また、「固定概念に囚われず、己として生きるもの達を描く」というアーティスト・Risa Mehmetのアートワークを用いたテキスタイルが印象的。ブラックのオーガンザスカートから透けて見えるのは、あどけなくもどこか不可思議な少女が森の中を歩いている絵画『おさんぽ』だ。
マザー・グースに登場する双子“トゥイードルダムとトゥイードルディー”のように、手を繋いで現れたモデルたちが着ているのは、絡まり合う花とリボンが描かれたカラー付きワンピース。袖や裾はバルーンのように寄せられており、空気を孕んだフォルムが異世界における浮遊感を想起させる。
カラーパレットは鮮やかだが、影を強くした印象。どこかアンニュイなパープルやオフホワイト、ターコイズ、ダスティピンクなどが、“あの世でもこの世でもない”色彩感覚を提案した。