画家のジャックは、ある夜、ポンヌフで思い詰めた表情をしている美しい女性マルトに出会う。翌晩、お互いの素性を語り合うジャックとマルト。ジャックは孤独な青年で、理想の女性との出会いを妄想してはそれをテープレコーダーに吹き込んでいた。一方のマルトは恋した相手に「結婚できる身分になったら1年後に会おう」と去られていた。そして今日がちょうどその1年後。マルトに熱い気持ちを抱きながらも、彼と出会えるよう献身するジャック。だが三夜目になっても男は現れず、マルトの心もジャックに惹かれ始めていた。そして運命の第四夜……。
映画『白夜』は、フランスの巨匠ロベール・ブレッソンがドストエフスキーの短篇をもとに手掛けたラブストーリー。パリ・セーヌ川に架かるポンヌフの橋で出会った若き男女の、四夜にわたる恋愛模様を描いている。
これまで見る機会が少なく“幻の傑作”とも謳われる『白夜』は、1971年カンヌ映画祭で初公開されたのち、近年ではフランスでさえ上映不可能であった。日本では2012年に35mmのニュープリントで上映され、2025年には4Kレストア版でスクリーンに蘇る。