モスキーノ(MOSCHINO)の2023-24年秋冬コレクションが発表された。
今季のモスキーノは、“歪みのあるドラマ”がテーマ。画家のサルバドール・ダリの画風であるシュルレアリスムと、パンクロックのテイストを融合し、メゾンを象徴するアイテムに新たな“ひねり”を加えた。
特徴的なのは、ダリの代表的な作品《記憶の固執》に登場する垂れ下がった時計などの表現を落とし込んだルックの数々。メゾンのアイコニックなバイカージャケットやクラシックなテーラードなどの裾は波のようにたるみ、ネームプレートチェーンやゴールドのパールのボタンも溶かされたかのような加工が施されている。
また、液状化した千鳥格子柄のセットアップや、“平和の象徴”であるゴールドのピースサインのアクセサリーはぐにゃりと変形している。さらに、ライダースジャケットのポケットカバーには、今にも水滴が落ちそうな“しずく”を添えた。
シュルレアリスムの退廃的な雰囲気を漂わせながらも、様々な装飾により無邪気なパンク精神も顔を出す。オールブラックのジャケットの肩の縫い目や、スカートの裾にあしらわれたスパイクはその好例。ウェアだけでなく、チョーカーやブレスレットなどにもスパイクを施し、アクセントを加えている。
まるで宝石箱のような装飾にも目を奪われる。パープルのサテンのイブニングボレロや、まるで球体のように膨らんだオレンジのガウン、1920年代のタッセルが煌めくドレスなどに、眩いばかりの宝石を大げさなまでに散りばめた。