アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)は、2023-24年秋冬コレクションを、イタリア・ミラノで発表した。
3年ぶりにミラノコレクションにてショーを発表したアツシ ナカシマ。循環性を意味する“CIRCULARITY”をテーマに、コレクションを通して「環境」に視線を投げかける。
この世の中を構成する、自然の産物と人工物。人間もまた自然の一部であると考えれば、人工物もまた自然界が生み出したものと同等として考えることができる。いずれも、世界に適応する段階で幾度となく取捨選択と吸収を繰り返し、長く生き残るものと衰退し消滅するものに分かれてきた。それでは、長く生き残っていくファッションとは何か、そして普遍的に残っていく美しさとは何か?素材使いやデザインを通して、普遍的な自然美を追求していく。
印象的なのは、有機的な佇まい。トレンチコートとデニムジャケットをドッキングしたジャケットやドレスは、風化したような質感のホワイトのファブリックを組み合わせることで、まるで動物や植物のような“経年変化”を思わせるデザインに。また、レッドとホワイトを切り変え、フリルとドレープで対比させたドレスや、三角形のピースがグラフィカルなバイカラーのドレスも、柔らかなドレープや生地の重なりを生かして躍動させることで、生き生きとした雰囲気に見せている。
さらに、近未来的、もしくは人工的な素材を用いて、自然の生み出した人間の身体を表現したピースも目を引く。正方形のピースを連ねたドレスは細胞を彷彿させ、チューブを連ねて編んだドレスは身体を走る血管を連想させる。また、起毛感のあるボディスーツや半透明のシアーなドレスは“第2の皮膚”のようにして身体を覆っている。
素材には、過去に使用したアーカイブ生地の廃材や、洋服を粉砕し再び生地に戻した再生素材、分解され土に戻るプラスチックを糸にした素材など、リユース素材を積極的に取り入れている。ペットボトルを原料とするポリエステル素材「ポリエステルトリプルクロス」は、綾織りの上品な質感が魅力。モスグリーン・ブラック・ホワイトの幾何学的なカラーブロックドレスや、バーガンディとグレージュ、ブラックなどをつなぎ合わせたパッチワークドレスに落とし込まれている。