ディオール(Dior)が2014年3月4日(火)に、パリファッションウィークで2014-15年秋冬コレクションを発表した。
今季、アーティスティック ディレクターのラフ・シモンズ(RAF SIMONS)は、ディオールの永遠のテーマである「フラワー・ウーマン(女性=花)」という世界観に、伝統的な紳士服のテーラリングを組み合わせ、新しい女性像を描いている。「今シーズンは、ガーデンの楽しさは控えめに抑え、慌ただしい都市のペースをより前面に出したイメージに仕上げました」と話す通り、ディオールを象徴するガーデン(庭園)の要素は抽象化され、都会で働く女性たちを連想させるシルエットを強調した。
コレクションを印象付けるのは、ビジネスライクなテーラードルック。ジャケットにロングコートを合わせた装いは、ピークドラペルを重ねているほか、ホーンボタン(角製ボタン)のダブルブレストなど男性的な服をあえて女性が身に纏うことで、センシュアルな魅力を表現。コートのウェスト部分にあしらわれた編み上げのディテールも、快活なアクセントになっている。
ドレスにもメンズのシャツ生地のほか、新しいカナージュキルティングをほどこしたナイロン地を使用。クリーンな印象のストライプのドレスは、アシンメトリーなプリーツの裾をジャケットから覗かせ、マスキュリニティとフェミニティのバランスを見事に保つ。ギリシャ神話に登場する巨人、アトラスはキルティングドレスをはじめバングルにも描かれ、女性の中にある“強さ”をアピールした。またデコルテを見せたディオールらしいエレガントなドレスも、ラフ ・シモンズはあえてノースリーブドレスを合わせて、鮮やかな色のコントラストが美しいモダンな装いを提案した。
ラストは贅沢にビーズの刺繍を全面にあしらったロングドレスで締めくくる。色とりどりの装飾がなされたドレスは、刺繍をした生地を2枚重ねることで煌びやかさをより繊細に魅せる。ここでもあえて現代的なフォルムをドレススタイルと融合させることで、今シーズンの“都市”というテーマのもつロマンティックさとリアルさを描く。その他にも一見クラシカルなストラップシューズに、スニーカー風のソールを用いるなど、華やかなコレクションの中には、意外性とモダンな要素が存分に織り交ぜられていた。