ダイリク(DAIRIKU)の、2023-24年秋冬コレクションを紹介。
今季のダイリクの着想源となっているのは、4本の映画。1970年代イギリスのユースカルチャーを描く映画『ノーザン・ソウル』をはじめ、70年代のグラム・ロックの流行を背景にした映画『ベルベット・ゴールドマイン』、90年代の英国を舞台にドラッグ中毒の若者たちを描いた映画『トレインスポッティング』、70年代北アイルランドのレコード店主テリー・フーリーの生き様を描写した映画『グッド・ヴァイブレーションズ』からアイディアを得た。
刹那的な青春の輝きや、様々なジャンルを網羅したレコードショップ、レンタルビデオショップに足を踏み入れた時のときめき、好きな音楽に身を任せて踊る少年少女の姿が、コレクションに投影されている。
注目したいのは、ロックスターを彷彿させる華やかなセットアップスタイル。4つボタンのブラックスーツにはホワイトのネクタイを合わせてコントラストを効かせ、グレーのスーツにはリボンタイ付きのシャツ、シャイニーなコートを合わせてアイキャッチなスタイリングに仕上げた。ブラックの上衿を配したライトブルーのセットアップや、艶やかなベルベットのスーツもまた、存在感を放っている。
加えて、ストールを使ったルックも散見された。きらびやかなタンクトップにレースストールをリボンのように巻いたスタイリングや、深みのあるブルーのベルベットスーツにリボンタイとしてレースストールを用いたコーディネート、パイソンのパンツとチェックシャツに、ラフにストールをかけたルックなど、多彩な形で用いられている。
また、ストールを頭に巻いたり、ジーンズのウエストにベルト替わりに巻き付けたりしたルックも登場。いずれも、ストールを加えることで、どこかステージ上のミュージシャンを彷彿させるような佇まいを描き出しているのが印象的だ。
ゴージャスさやダイナミックさがありつつ、身体になじむようなウォーミングな雰囲気を漂わせているのも特徴的。ボリュームのあるファーのトップスは、陰影のあるブルーや紫がかったピンクを採用することで、ポップさもありつつ落ち着きのある装いに。また、ブロンズカラーのスパングルシャツや、灼けたようなブラウンのパフィーコート、コーラルのサテンプルオーバーなどに見られるノスタルジックな色使いが、親近感を後押ししている。