ダイリク(DAIRIKU)の2024年春夏コレクションが2023年7月12日(水)に国立競技場の駐車場で発表された。テーマは“MY HERO”。
ダイリクのデザイナー・岡本大陸は、子供の頃、父親の隣に座りながらよくテレビを観ていたという。そこに映っていたのは『大脱走』の名優スティーヴ・マックイーンであり、『燃えよドラゴン』のブルース・リー、そしてイタリア製西部劇・マカロニウエスタン映画から黒澤映画まで。当時、“古い映画だ”とさえ思っていたこれらの作品は、気が付くと自身の“ヒーロー”になっていたそうだ。
そんな“映画のヒーローたち”に思いを馳せた今シーズン。ショーは「ハリウッドサイン」を模したオブジェの裏からヴィンテージカーが現れるという、まさに映画のようなドラマチックな演出によって幕を開けた。
まず目を引くのは、今季のテーマ“MY HERO”のロゴをあしらったシースルートップス。ある時は大胆に一枚で、またある時はスーツジャケットやスカジャンのインナーとして提案された。
『燃えよドラゴン』でブルース・リーが披露したトラックスーツを彷彿させるアイテムもランウェイに。イエローのボディにブラックのラインという劇中のアイテムと同様のカラーリングで仕上げたオールインワンは、ファスナーを大胆に開けて中のロゴを見せることで、ストリートなテイストに。ブラックのボディにグレーのラインでシックに仕上げたバージョンは、ブラックのロングコートを合わせることで上品な印象にまとめ上げている。
フリンジが大胆に揺れるアイテムは、マカロニウエスタン映画の登場人物たちを思わせるもの。長めのフリンジが目を引くデニムパンツはその好例。トップスには、フリルの装飾がフレッシュなムードを演出するチェック柄のウエスタンシャツを合わせている。
今季は、スカーフを取り入れたスタイリングが繰り返し提案されたのも印象的。長年愛用されたようなルックスのレザージャケットとパンツのセットアップは、スカーフを取り入れることで、無骨な中にクリーンなムードをプラス。首元が大胆に開いたブラックドレスは、スカーフを巻くことでアクセントを加えている。
なお、ショーノートのあとがきは、長寿番組『日曜洋画劇場』の解説者として映画の魅力を伝え続けた淀川長治の名台詞、「さよなら、さよなら、さよなら…!!」の言葉で締めくくられており、細部に至るまで映画愛を感じられるコレクションとなっていた。