展覧会「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」が、東京の太田記念美術館にて、2023年6月3日(土)から7月26日(水)まで開催される。
大正期から昭和期にかけて、江戸期以来の浮世絵木版画の伝統を継承しつつ制作された木版画「新版画」。絵師、彫師、摺師の共同作業によって手がけられる新版画は、通常、その牽引者である渡邊庄三郎のような版元が制作の主導権を握るものの、自ら彫師と摺師を指揮する私家版の手法を採る場合もあった。こうした私家版の新版画で独自の表現を追い求めたのが、ポール・ジャクレーだ。
1986年フランス・パリに生まれたジャクレーは、1899年に来日し、1960年にこの世を去るまで日本に暮らしている。日本の伝統文化に造詣が深く、なかでも浮世絵については、幼い頃から収集や模写を行うばかりでなく、10代の頃には月岡芳年の孫弟子にあたる池田輝方・蕉園夫妻から日本画を学び、喜多川歌麿風の肉筆美人画を手がけるほどであった。
ジャクレーが新版画を手がけるようになったのは、1934年(昭和9年)頃のこと。昭和初期、サイパン島やヤップ島など、当時日本の委任統治領となっていた南洋の島々に幾たびと長期滞在し、数多くの水彩画を描いている。これが、さまざまな国の人びとを鮮やかな色彩で描くジャクレーの新版画制作に繋がっていったのだ。
展覧会「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」は、ジャクレーの新版画を一挙に紹介する、首都圏では初の展覧会。《極楽鳥、セレベス》や《真珠、満州》、《おけさ踊り、佐渡》など、全162点の作品を前期と後期に分けて展示する。
展覧会「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」
会期:2023年6月3日(土)〜7月26日(水) 前後期で全点展示替え
[前期 6月3日(土)〜28日(水) / 後期 7月1日(土)〜26日(水)]
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
開館時間:10:30〜17:30(入館は17:00まで)
休館日:月曜日、6月29日(木)〜30日(金)
入館料:一般 1,000円、高校・大学生 700円、中学生以下 無料
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)