2014年3月17日(月)、まとふ(matohu)が東京・南青山で2014-15年秋冬コレクションを発表した。今季のテーマは「ふきよせ」。時とともに自然に集まってきた物たちへの限りない愛を意味している。
「私たちは古い布を美しいと思って見ている時間がとても多いんです。ですからそういった古いものをどう新しく、そしてより美しく再創造するかというところに重きを置きました」と語るデザイナーの堀畑裕之と関口真希子。今までに行われた18回のコレクションから集めたあまり布を、切り継いで生み出したテキスタイルは、パッチワークにならぬよう、シンメトリーさとハーモニーにこだわった。
秋をイメージしたカラーパレットには、黄色やオレンジが多く使われた。色の重なりやグラデーションが、深まる秋のしみじみとした趣を感じさせる。後半にはブルーやグリーンをプラスしてトーンを強めているのも印象的だ。
その他にも、ジャカード織で表現した紅葉や、洗いをかけ、光の角度によってキラキラ輝くよう加工されたベルベットが表現する黄金色の木々のように、秋を彷彿とさせるモチーフが多く登場した本コレクション。「意図せず無作為に集まったものの美しさを見せたかった」と語るデザイナーの言葉通り、バラバラな色・素材を見事にひとつの調和のとれたスタイルへとまとめあげていた。
誰が集めたのでもなく、ひとりでに北風に吹き寄せられた落ち葉の「ふきよせ」は、数日で色あせ、砕け、消えていく。そんな無価値にも見える一瞬の美にも、日本人は名前を与え、季節のもてなしの菓子や料理になぞらえ楽しんだ。本コレクションは、そうした日本人の繊細な美意識と、ものを愛しみ長く大切に使う心を、私達に改めて思い出させてくれた。