ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)の2014-15年秋冬コレクションが、2014年3月21日(金)に東京・渋谷で発表された。
デザインの語源“計画を記号に表す”を意味する言葉、「Designare」と名付けられた今季は、ロサンゼルスにあるイームズ夫婦の自邸、イームズハウスがインスピレーション源。デザイナーの江角泰俊が「リサーチを進めていくうえで“大量生産”というものが頭に入ってきました」と語る通り、既製工業品のみを使用して建てられたイームズハウスのように、コレクションでも既定のアイテムを解体・再構築する方法を用いたという。
ランウェイの中央には、イームズハウスのモダンな佇まいを思わせる格子のセットが設置され、モデルたちはその中を歩いて登場した。江角が語る「パーツを組み替える」という方法はワードローブの至るところに見られる。例えばトレンチコートにショートジャケットのようなガンパッチを着けたり、ドレスにプリーツスカートを組み合わせたり、ケーブルニットとブルゾンを一体化させたり、またアシンメトリーなニットからシャツを覗かせたり……。ほぼ全てのアイテムにそうした考えが取り入れられた。
またテーマ性をしっかりと汲んでいるのも特徴で、イームズハウスの格子と同じ、チェックがコレクションを支配、特に“イームズ・チェック”と呼ばれた建築物さながらの模様が多く見られる。パレットは、こっくりとした色味のレッド、キャメル、グリーン、そしてモノトーンの4種類で展開された。
またコレクションの発表後には、第6回「DHL デザイナーアワード」が発表され、見事に江角が受賞者に選出された。今季のコレクションのロジスティクスパートナーとして公式に輸送がサポートされることが決まったヤストシ エズミ。「ウィメンズウェアを作っているからには、やはり女性に喜んでもらわないと」とデザイナーが話しているように、コレクションはここまでコンセプトに沿いながらも、一着一着はエレガントでウェアラブルになっているため、見て楽しむだけで終わらず純粋に「着てみたい」と思わせてくれる。クリエーションと実用性、そのどちらにも偏ることないブランドは、今回の受賞を機に海外にも展開していくことが期待される。