ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON) 2024年メンズリゾートコレクションが発表された。
故 ヴァージル・アブローの逝去を経て、クリエイティブ・ディレクター不在の期間を過ごしていたルイ・ヴィトン。そんな最中に新たなメゾンの舵手として、これまで音楽シーンを牽引してきたファレル・ウィリアムスの名が挙がったことは、ファッション界に新しい光を灯す明るいニュースとなった。
今シーズンは、そんなファレルが本格的にコレクションを展開する“間近”のコレクション。突然の暗闇、そして再生──夜はいつか必ず太陽を迎えるように、新しい希望に満ちた“夜明け”のような瞬間を、万国の光の象徴である“焚き火”と結び付けた物語を描く。
目に留まるのは、焚き火を連想させる赤やオレンジをはじめ、母なる大地の茶、森林の青や緑など、万物を構成する元素のカラー。また今季はカモフラージュ柄に見立てた"世界地図”がキーモチーフとなり、ウールスーツやテクニカルパーカー、トラックパンツなど、コレクション全体を繋ぐように取り入れられているのが特徴だ。
同時に、"煙の描写”を至るところに取り入れているのも、今シーズンならではのアプローチ。どこか"ぼやけた”ダミエ柄はその好例で、焚き火の周りにできる波打つような空気をポエティックに描いているよう。シルエットは直線的でありながらも、程よく布地を多めに使ってリラクシングに。アウター群には、従来のダウンフェザーに代わって、リサイクルナイロンを使用したエコダウンが登場するなど、環境に配慮したウェアも登場する。
そして焚火と並んで、もうひとつの大きなテーマとなったのは夜の森の大気を表現した"オーロラ”。この幻想的な自然現象にインスパイアされたグラデーションは、フロッキー加工を施したナイロンのボンバージャケットや、スプレー塗装された色あせたデニムなどに照射され、闇夜を切り裂くように鮮やかな色彩を放っている。
そんな神秘的なムードの中で異彩を放つのは、"チラシ”をパッチワークしたようなパジャマスタイルだ。今季のコレクションの中では、いささかノイズを感じさせるパターンではあるが、スローガンをパールの刺繍で綴るなど、繊細を秘めたディテールに不思議と親近感を感じてしまう。
高い人気を集めるバッグの新作には、コレクションとリンクしたファイヤーモチーフを積極的に取り入れて。ラインナップには、サック・ホライズン、ディスカバリー・バックパック、クリストファー・バックパック 、クリストファー・バックパック、キープオールなど、メゾンを象徴するアイテムが揃う。
また足元を彩るシューズは、スエードを採用したトレッキング用シューズ、防水使用のハイキングシューズといったアウトドアなスタイルが旬のムード。ややボリュームのある形状のソールを採用することで、モダンな表情に仕上げている。