クロエ(Chloé)の2024年春コレクションが発表された。
クロエが2023年春に提案するのは、世代を超えて長く使い続けることのできる“タイムレスな服”。展開されるのはジャケットやデニム、ブラウスといったベーシックなアイテムの数々だが、いずれもシンプルなデザインの中にクロエらしいエレガンスと遊び心が潜んでいる。
注目したいのは、一見しただけではその質感が分からない、意外性のある素材使いの洋服。たとえば、襟にシアリングをあしらったライトインディゴのジャケットとフレアパンツは、デニムやコーデュロイではなく柔らかなスエード素材なのがユニーク。レースのように見えるクルーネックセーターとスカートは、実際はマットなカシミヤと光沢のあるシルクを対比させたテクニカルニットで仕立てられている。
ベーシックなダブルブレストジャケットや、ロング丈のオーバーコートのラペルには、ゴールドチェーンのホイップステッチをあしらい、洗練されたアクセントをプラス。ケーブルニットセーターのセットアップにもまた、手編みされたメタルチェーンを配することで、その立体感を一層際立たせている。
随所に差し込まれるアローモチーフは、ラガーフェルドが1983-84年秋冬コレクションでデザインしたアイコニックなシャツドレスにオマージュを捧げたもの。クレープ素材のコートやドレスに輝くクリスタルのアロー刺繍は、ルックの中でもひときわ目を惹く。
コレクションに華を添えるアクセサリーにも注目だ。今季デビューする「Lacey」バッグや、ゴールドトーンの彫刻的なジュエリー、エレガントなイブニングシューズには、ノットからあえてフリルを取り除いたようなボウモチーフを採用し、甘さとスタイリッシュさの絶妙なバランスを演出した。