エムエスジーエム(MSGM)の2024年春夏メンズコレクションが、2023年6月17日(土)、ミラノにて発表された。
線路下のほの暗い空間で開催された、今季のMSGMのショー。その会場がさながら坑道を彷彿とさせるならば、自然の営為によって生み出される経年変化、あるいはその階調が、MSGMのコレクションに映し出されているように思われる。じじつ、その着想源は、マッシモ・ジョルジェッティのタンザニア旅行であったという。
基調となるのは、オーバーなシルエットを採用したストリートウェアや、ほどよい抜け感を持つテーラリング。そこに、自然における時間の変化やその階調を思わせるモチーフがのせられてゆく。
たとえば、むしろ無機的ともいえる人工素材には、霞のかかったようなグラデーションを、フード付きシャツ、ニットのタンクトップやトップスには、夕日暮れなずむ空の色彩がそせられている。また、ブルゾンには厚みのある素材を用い、ヴィンテージデニムを思わせるインディゴブルーの階調を示している。
あるいは、テーラードジャケットには、ほつれたようなファブリックを採用。カラーリング自体は落ち着いたブラックながら、ダメージ感ある素材によって、変化のついた表情をもたらしているといえる。
カラーは、大地を彷彿とさせるブラウンやベージュ、カーキ、柔らかなインディゴブルーなどが軸。そこに、夕日のオレンジが華を添えるとともに、ペールパープルというニュアンスカラーが優しいグラデーションをコレクションにもたらしている。