ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)の2024年春夏メンズコレクションが発表された。テーマは「DARKDENCE」。
風化し、脆く崩れそうな退廃の雰囲気を漂わせる、今季のジョン ローレンス サリバン。その着想限になったのが、デザイナーの柳川荒士が2016年に訪れたというチェコのセドレツ納骨堂であり、夥しい数の十字架が蝟集するリトアニア・シャウレイの「十字架の丘」であり、戦後ドイツを代表する画家アンゼルム・キーファーの作品であったという。
プラハの東約70kmほどの町にあるセドレツ納骨堂は、人骨を用いて礼拝堂内の装飾を施していることで知られている。白く乾いた骨の質感は、たとえば白じろとブリーチを施したブラックデニムのジャケットやパンツ、重厚ながらも経年変化を思わせる表情に仕上げたレザーのロングコートなどに見てとることができる。
こうした例に見るように、陰鬱な雰囲気はここで、目で見るものではなく、皮膚を通じてかすかにふれることで感じられるものである。だから、今季のコレクションは、衣服を織りなす素材の肌理、強く、あるいは脆くもある質感に力点が置かれている。ダブルブレストジャケットには、葉脈を彷彿とさせる畝のある素材や、シワ加工を施したベルベットを。あるいはボンバージャケットなどには、凹凸豊かなフェイクスエードを用いている。
一方、透けるような脆さもまた、衣服の肌理に看取することができる。やはり凹凸間のあるレース素材は、フーディなどに採用。葉脈のように流れる模様を織りなすレースは、シャツやトップスなどへ。あるいは、屈強なテーラリングとコントラストをなすシアー素材は、タイトなトップスなどに採用された。
カラーは、骨や岩、樹木の乾ききった表情を彷彿とさせるかのように、ブラックとホワイトがベース。また、シアートップスやシャツなどには、大理石の断面を彷彿とさせる柄をのせ、冷え冷えと色みを加えている。