ボス(BOSS)が2015年クルーズコレクションを発表した。
アーティスティック・ディレクターであるジェイソン・ウー(Jason Wu)が試みたのは、2014-15年秋冬コレクションでも既に見られたように、ボスならではの個性に磨きをかけ、ブランドの基本となる理念を拡大解釈し、定義を再構築することだった。
カラーパレットは、ブラックやホワイト、メタリックなヘマタイトグレーなどを使用。イブニングのロング・ドレスでは極めて淡いシルバーが水銀のごとくあしらわれ、精密さにより磨きがかかった。
先シーズンに引き続き、ドイツのモダニズム建築であるバウハウスを連想させるグラフィックは、格子状のグリッド・パターンや、バイカラーのシェブロン模様が施されたヘリンボーンがジャカードのニットに落とし込まれ、手作りの質感に自然な風合いを注ぎ込んでいる。
スカートは洗練されたシルエット。ボディにフィットするIラインや、あるいはフレアスカートが印象的だ。基調を成すのはマスキュリンなワードローブ。ゆったりとしたルーズなパンツや、テーラードのジャケット、ニットなどが、ジェイソンならではのフェミニンさとのコントラストで表現されている。
またボスの伝統を活かしながら、シャツ地を小粋なドレスに生まれ変わらせてみせたジェイソン。 装飾はプリーツやシームなどで最小限に留め、生地のカットそのものを美しいディテールとして強調。イブニングドレスも、プリーツとピンタックによるふわりとした重なりが、エフォートレスなエレガンスを演出している。くたっとした非構築的でソフトな二枚襟など、クラシックなメンズウエアの要素を基に、人目を引くモダンなデザインをも新たに生み出した。