リック・オウエンス(Rick Owens)の2025年春夏メンズコレクションが、2024年6月20日(木)に発表された。
「ハリウッド(HOLLYWOOD)」と題された、今季のリック・オウエンス。淡いベージュに統一された装いの数々は、どこか古代の儀式をも彷彿とさせるものだ。そこには、どこか素朴な佇まいに、リック・オウエンスならではの独特の素材遣いが溶け合っている。
儀式的であったり、素朴であったりと形容したのは、ここで展開されているウェアが、一方では荘厳な造形性を示し、他方でどこまでも身体に密着したシルエットを描いているからだ。まず誇張された造形に目を向けるのならば、パワーショルダーで仕上げたシアー素材のコート、両肩にピークが隆起するノーカラーコートに加えて、極めてハリのある素材で仕上げた立体的なブルゾンなどを上げることができる。
こうした誇張されたフォルムとは対照的に、身体に張り付くようなウェアも数多く見られる。カットアウトを多様に施し、複雑にレイヤリングを施したボディスーツはその一例だ。また、シアーなファブリックでタイトに仕上げたトップスは、衣服である以上に皮膚的であるともいえる。
古代とも未来ともつかぬコレクションの雰囲気は、斬新な素材からも生まれると言ってよい。ケープやジャケットには、くすみを帯びたゴールドのコーティングを施したデニムを採用。また、フード付きのジャケットなどには、アルミ箔をボンディングしたファブリックを用いた。このようにくすみを帯びたる金属的なきらめきが、両義的な風合いを生みだしているのだといえよう。