そろそろ展開がスタートする2014-15年秋冬コレクション。秋冬のワードローブとなるとアウターが主役になりがちだが、パリ、ミラノ、ニューヨークのランウェイでは軽やかなシースルーを用い、重々しさを感じさせない装いが新鮮だった。奇抜な色味を使わなくとも、透け感のあるドレスやトップスは、ときにアーティスティックだったり、幻想的だったり、モダンだったり……と様々な表情を見せた。
1枚で決まるドレスはもちろん、さりげなくコーディネートに取り入れられるシャツやパンツなども登場した今季。涼しくなりはじめた秋口にトライしてみたり、ホリデーシーズンのとっておきの1着に選んだりと、活躍の場は広がりそう。コートを脱いだとき、おもわずドキッとさせるようなファッションで、周囲の視線を釘づけにして。
自由奔放なボヘミアンスタイル、“ボーホー”をフェミニンに魅せたのクロエ ( Chloé ) 。ここでも軽やかな素材は多く見られ、ドレスやシャツなど多くのアイテムに取り入れられた。
中でも注目したいのは、ダークカラーにユニークなモチーフをあしらったトップスとティアードスカートのセットアップだ。全体的に透け感のある素材でライトな仕上がりになっているが、よくみると白レースの模様部分も透明に。腕や裾などポイントがシースルーになっているのが、面白い。大胆な肌の露出は苦手、という人もさりげない透け感を愉しんでみてはいかがだろうか。
ディオール ( Dior ) のコレクションで、ラストを飾ったロングドレス。アーティスティック ディレクターのラフ・シモンズによるクリエーションは、ディオールの華やかさはそのままに、モダンな要素を大胆かつ自然に取り入れている。この1着は、まさにその世界観を象徴するものだ。装飾がなされたドレスは、現代的な丸首のインナーとレイヤード。輝く刺繍は煌びやかなのに、意外性のあるアイテムとともに着こなすことで、既存のエレガントな装いに一線を画した。
ジバンシィ バイ リカルド ティッシ ( Givenchy by Riccardo Tisci ) は、フランス語で上流社会などを意味する言葉「bon ton」がキーワードに。1940年代のクラシカルなデザインをベースに、パイソンやレオパードといったアニマル柄、そして蝶々の模様などで、華やかさに強さを融合させた。
そのためフェミニンなシースルードレスも、パワフルな存在感を放つ。細めのベルトでウエストマークした膝上丈のドレスは、胸元にハート型のようにフリルがあしらわれたレディライクな仕上がり。そこにも大ぶりのペイズリー柄を用いることで、美しくも逞しい女性像を表現している。1枚でさらりと着こなしたい、圧巻のドレスだ。
“ハイブリッド”がどんどん進化している今季サカイ(sacai)。厚地×薄地の対比を強調したルックは数多く登場したが、今回は深みのあるブルーのコーディネートに注目したい。sacaiが得意とするニットウェアに合わせたキュロットには、シフォンとメルトンウールのラップスカートを組み合わせた。スカートからのぞく脚、歩くたびに揺れるプリーツは、エレガントでありながらモード感たっぷり。個性あふれる斬新な1着も、同系色でコーディネートして統一感のあるスタイリングを提案している。
ニュートラルなカラーパレットで展開さマーク ジェイコブス ( MARC JACOBS ) のコレクション。ショー後半に登場した、半透明のオーガンザのドレスは、ふんわりと軽いティアードが不規則に重ねられ幻想的なムードでいっぱい。淡いカラーで彩られたドレスを、あえてスポーティなパンツやヘアバンド、ブーツを合わせて着こなしているのが特徴的。どんなテイストにも収まらない、個性あふれるスタイリングに仕上がっている。
祖父や祖母が着ていたようなクラシカルな服を、解体・再構築してモダンに昇華させたメゾン マルタン マルジェラ ( Maison Martin Margiela ) 。どこか懐かしいアイテムは、ブランドのスピリッツによりブラッシュアップされて登場した。
特に目を引いたのは、1930年代に見られるようなレースを用いた服だ。中でもストライプのドレスに重ねたエプロンは、今季のイメージを物語る。大胆にも後ろ前反対に着用することで、エプロンとしてではなく、1着のレイヤードアイテムとして現代的に提案されている。レースの甘さをセーブするべく、足元は黒のニーハイtabiブーツで引き締めているのもお手本にしたい。
60年代のミニマルスタイルをイメージしサンローラン(Saint Laurent )のコレクション。そのほとんどは、とびきりミニ丈のスカートに、レギンスを合わせたスタイルだった。
ドットモチーフがアクセントになったブラックドレスもその1つ。デコルテやふんわりとした袖からは素肌をのぞかせつつも、足元は厚手のレギンスにブーツを合わせてバランスよく。
コレクションの中でも透け感のある素材を多用し、ドラマティックな装いを披露していヴァレンティノ(VALENTINO)。華やかなドレスルックも目立っていたが、今回はアーティなロングスカートに合わせたトップスに注目してみた。
袖回りと身頃にイノセントなホワイトを配し、サイドや袖は大胆に肌をのぞかせた一着は、素材の対比が楽しめる。クラシカルな丈のスカートでレディな印象にまとまっているが、透ける素肌がなんともセンシュアルなムードに。