フェティコ(FETICO)の2025年春夏コレクションが、東京ファッションウィーク期間中の2024年9月3日(火)、東京・スターライズスタジオにて発表された。テーマは「The Secrets」。
今季のミューズは、80年代に名を馳せたアメリカ人スーパーモデルで俳優のヴェロニカ・ウェブ。現在より人種的多様性に乏しかった当時のファッション業界で、アフリカ系アメリカ人として初めて大手化粧品会社の広告塔として活躍し、モード誌の表紙を飾った人物だ。彼女の可愛らしく洗練された雰囲気、80年代ファッションの上品な着こなしから、コレクションのヒントを得た。
そしてもう1つの着想源となったのが、1988年に公開された映画『Drowing by Numbers』。イギリスのサフォーク州を舞台に、祖母、母、娘の3世代の女性たちがパートナーを溺死させる過程を描いたサスペンス作品である。同作のミステリアスでありながらノスタルジック、淡く儚い空気感もまた、コレクションへと色濃く反映されている。
ヴェロニカ・ウェブが持つ80年代の力強い女性像と、映画『Drowing by Numbers』の白昼夢のように掴みどころのない不思議な世界観。その2つの要素を融合させ、女性の“密かな魅力”を引き出すようなコレクションを提案していく。
まず注目したいのは、映画『Drowing by Numbers』からインスピレーションを得たヴィンテージライクな柄使いだ。マキシ丈のドレスには、ポルカドット柄や薔薇柄を配し、80年代当時を思わせるノスタルジックな佇まいに。レトロなオーバル型のサングラスや、ベルト付きのウエストバッグもまた、レトロなムードを加速させている。
ブランドが得意とするテーラリングからは、マニッシュとフェミニンの絶妙な駆け引きが垣間見られる。パワーショルダーのジャケットは、クロップド丈に仕立て、背中を大胆にカットアウトすることで秘めたる女性的な色気を解放。ハイウエストのプリーツトラウザーもまた、バックに素肌を覗かせるカッティングを施しており、後ろ姿にセンシュアルな肌見せを叶えている。
薔薇柄を織り上げたジャカードデニムは、コルセットを彷彿とさせるビスチェやハイウエストパンツ、エプロンドレスなど随所に。カジュアルなデニム素材が、フェティコのシグネチャーである繊細なランジェリーディテールの女性性を一層引き立てていた。
カラーパレットは、ブラック、ホワイト、グレー、ブラウンといったベーシックな色味を基調に、80年代らしい淡いピンクやライムグリーン、ブルーを差し色にプラス。遠い記憶の中に迷い込んだような、色褪せたペールカラーが、懐かしくもロマンティックな雰囲気を添えている。
また今季はフェティコ初のスニーカーがお目見え。スクエアトゥのすっきりとした本革のボディに2連のベルクロストラップと、快適な履き心地を叶える「ヴィブラム」ソールを組み合わせた。カラーは、ブラック、ホワイト、シルバーの3足を展開予定だという。