マルニ(MARNI)の2025年春夏コレクションが、イタリア・ミラノで発表された。
クリエイティブディレクターのフランチェスコ・リッソが手掛けた2025年春夏コレクションでは、アートを落とし込んだルックが目立つ。見るものを不思議で幻想的な世界へと誘うアーティスティックなデザインから、速度を落とすことのない“美の追求”を見て取ることができる。
中でも、文学の1ページを貼り付け、大胆に絵具で囲っているモチーフが目を引く。赤・黒・白で統一したシックな色合いが、どこかクラシカルな雰囲気を感じさせる一方、コラージュのラフな質感によって存在感を強めている。
カラフルなバラのセットアップは、たっぷりと生地を用いて華やかに仕上げつつも、背景に黒地を選ぶことで落ち着いた雰囲気に仕上げている。また、バラを採用したほかのルックでは、赤や黒の単色で描かれたデザインに加え、ショーの最後には、ラインストーンで煌びやかに描いたバラと、羽根を纏ったドレスも登場するなど、多様なバラのピースが見受けられた。
シルエットは、裾をフリルに仕上げたタイトなスカートなどに見られる、ダイナミックな動きのあるデザインや彫刻的なフォルムが散見された。腰に沿わせたラインがスタイリッシュなスカートや、マントのように羽織るトップスなど、体のラインに逆らわない、美しいシェイプで緩急をつけている。タイトなミニスカートにボリューミーなジャケットを合わせたコーディネートなど、組み合わせでメリハリをつけたルックも印象的だ。
コットンやレザー、スエードを主役に置いた素材使いにも注目。レザーで仕立てたジャケットや、スエードのロングコートなど、生地の持つ雰囲気を生かしつつ、本質的な形へと還元したウェアが散見されている。ショーの最初から最後まで、有機的な素材を採用することで、各ピースが持ちあわせている自然体の美しさを追求した。