東京・丸の内の三菱一号館美術館が、2024年11月23日(土)に再開館。これを記念して、展覧会「再開館記念 『不在』—トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」が、2025年1月26日(日)まで開催される。
三菱一号館美術館の再開館に合わせて開催される「再開館記念 『不在』—トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」展は、19世紀末のパリで活躍したアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックと、フランスを代表する現代美術家ソフィ・カルを紹介する展覧会だ。
テーマとなるのが、「不在」である。ソフィ・カルは長年にわたって、「喪失」や「不在」をめぐる作品を手がけてきた。その例として、自身の失恋体験による痛みとその回復を主題とする《限局性激痛》や、「見ること」を追求したシリーズ「盲目の人々」を挙げることができる。本展では、「不在」をテーマに、トゥールーズ=ロートレックとカルの作品を展示する。
トゥールーズ=ロートレックは、パリ・モンマルトルに生きる歌手や芸人、娼婦を題材に、素早い描線と大胆な構図を活かしたポスターなどを手がけたことで知られている。本展では、三菱一号館美術館の所蔵作品を中心とする136点を通して、トゥールーズ=ロートレックの作品を、「不在」そしてその表裏の関係にある「存在」という視点から再考する。
トゥールーズ=ロートレックは、描きだすモデルの人物を、容貌や髪型、体型ばかりでなく、装いにまで還元し、繰り返し描くことで、その個性を強調した。実際、歌手のアリスティド・ブリュアンの場合はマフラーに、踊り子のジャヌ・アヴリルでは帽子に着目し、それらを反復している。会場では、「存在」を際立てる「反復」に目を向け、《エルドラド、アリスティド・ブリュアン》や《ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)》といった版画作品を展示する。
また、トゥールーズ=ロートレックは石版画集『彼女たち』において、テキストの「不在」のもと、女性たちのさまざまな「存在」を表現することを試みている。その享受者としては、男性が想定されていたものの、作品内に男性の姿が可視化されることはない。会場で展示される『彼女たち』からは、「不在」と「存在」をめぐる関わりあいを見てとることができるだろう。
一方、ソフィ・カルは、その創作の多くに通底する「不在」をテーマに作品を紹介。カル自身や家族の死にまつわる「自伝」、額装写真の前面にテキストを刺繍した布を垂らし、その布をめくると写真が現れる「なぜなら」など、テキストと写真を組み合わせた代表的なシリーズを展示する。さらに、三菱一号館美術館が所蔵するオディロン・ルドンのパステル画《グラン・ブーケ(大きな花束)》に着想した作品を初公開する。
展覧会「再開館記念 『不在』—トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」
会期:2024年11月23日(土)〜2025年1月26日(日)
会場:三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
開館時間:10:00〜18:00
※祝日を除く金曜日と会期最終週平日、第2水曜日は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(トークフリーデー:11月25日(月)および12月30日(月)、1月13日(月・祝)・20日(月)は開館)、12月31日(火)、1月1日(水・祝)
観覧料:一般 2,300円、大学生 1,300円、高校生 1,000円、小・中学生 無料
※障がい者手帳の所持者は半額、付添者1名までは無料
※小展示「坂本繁二郎とフランス」も観覧可
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)